今日も主食はカロリーブロック

ラブライブ!やラブライブ!サンシャイン!!に関することを、時折思いつきで書いていこうと思います。

Believe againを読む。

 

 こんにちは、ぶろっくです。

 劇場版「ラブライブ!サンシャイン!! The School Idol Movie  Over the Rainbow(以下、『劇場版』)」の公開からしばらくが経ちました。

 今回は挿入歌、Saint Snowの「Believe again」*1を読んでいきたいと思います。

 


劇場版 挿入歌シングル第3弾試聴動画「Believe again/Brightest Melody/Over The Next Rainbow」

 

 Saint Snowの楽曲制作は、主に姉の聖良が担当しています。

 妹の理亞も「詞も曲もほとんど姉様が作ってる」と語っていましたね。*2

 

 アニメで描かれがちなのは、理亞の心情、物語。

 聖良のことは、楽曲を特に踏まえて考察するのがいいのかな、と思っています。

 楽曲からは聖良の立ち位置、マインドが感じられます。

 

k-block.hatenablog.com

(こんな記事書いてます。)

  

 それでは、歌詞を読んでいきましょう。

 Saint Snowの、聖良の残した愛のカタチを。

(今のは「結晶」と「決勝」を掛けたゲフン)

 

 

caution!

 当記事には、以下の内容が含まれます。

・アニメ版、劇場版のネタバレ

・「Believe again」フル歌詞のネタバレ

 

 

 

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 前提として、この曲はいくつかの側面を持っています。

 

 ひとつは “ラブライブ!決勝のための曲”です。

 不特定多数の観客に、どういうメッセージを与えるのか。

 妹の理亞が、この曲の存在を知りながら、姉・聖良の想いに反してSaint Snowに縛られていたこと。

 そのことが、この曲には姉妹としての絆の曲、という以外の意味が備わっていたことを裏付けています。

 そうした視線で曲や歌詞を考えるのも、面白いかもしれませんね。

 

 もうひとつは当然、“鹿角姉妹のための曲”です。

 この記事は、聖良の想いを探すもの。

 なので、今回はこちらの読み方を中心に話を進めます。

 

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 では、歌詞に入りましょう。

 

 

きっとひとりじゃない 夢の中へ Go!!

迷いながら Ready? Go! 

 

 ここでの「夢」は“輝く自分になれる舞台”と意訳していいと思います。

 以前にもお話しましたが、 Aqoursにとっての「夢」は「キラキラと輝く“スクールアイドル”になること!」*3です。その意訳というか、より広い意味と取るというイメージですね。

 

 この歌詞の読み方はふた通り。

1.“ひとりじゃない(から) 、夢の中へ Go!!”

「一緒ならできるなんでも そう思ってるよ」*4ということです。

SELF CONTROL!!」では孤独を選んだ。

「CRASH MIND」ではその内情が繊細に語られ。

 しかし「DROPOUT!?」では

 

かつて歌の中で「孤独なほうが届きそうだから」と口にしていましたが、μ’sもA-RISEも孤独ではありませんでした。

DROPOUT!? の歌詞を考察してみる。 - 今日も主食はカロリーブロック

 

 決して手の届かない光を、放っていた先駆者たち。

 そしてAqoursもまた、孤独ではなく。 

「Awaken the power」で姉妹お互いの想いを再確認。

 Saint Snowらしい強さと、孤独なだけではない在り方と。

 仲間とならどこへだっていける。そんな想いかもしれません。

 

 

2.“「ひとりじゃない夢」の中へGo!!”

 とはいえ、このライブを最後にSaint Snowとしての活動は終わる。

 それにラブライブ!決勝は三月、出会いと別れの季節です。

「次の舞台でも、きっとひとりじゃない」

 理亞をそんな風に励ます歌詞のようにも思えますね。

 

 こちらの読み方だと、特に「迷いながら Ready? Go!」が際立ちます。

 

 はじまりは一人かもしれない。

 けれど、その先にきっと仲間がいる。

 

「きっと」は、歌詞を書いたときには願望だったかも知れません。

 けれど実際にAqoursに披露する段階に至って、想いは確信に変わったはずです。

 

「理亞ちゃんや花丸ちゃん、善子ちゃんと出会ったから、頑張ってこれたんだよ」

 

 理亞の進む先が「ひとりじゃない」とわかって、より実感を持って歌うことができたのではないでしょうか。

 

 

やっとね 気がついたみたい?

あなたの中の消えない光(That's right!)

 

「みたい?」という曖昧な言い方。

「私は気づいていますよ、理亞は?」という問いかけに感じます。

 

 聖良のことは、ずっと誇らしく語っていた理亞。

 函館でのAqoursとのライブで、決意を新たにした理亞。

 しかし自分の夢を追う半ばで、再び挫折を味わいます。

 ある意味で、Saint Snowという形を求め、あるいは縋り、追っていたから。

 

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理亞「違う“雪の結晶”を見つける。見てて」 

 

 聖良はそんな理亞に「Saint Snowの想いは、形が変わっても消えない」ということを伝えます。

「Awaken the power」で見えた光を、能力的な可能性とするなら。

「Believe again」での光は、Saint Snowの想いを宿した、理亞自身の光を示していると思われます。

 

 この光をSaint Snowにこだわらず解釈すると、「これまでの積み重ねが生んだ消えない光」ということになるでしょう。

 Saint Snowから見た観客かもしれませんし、観客から見たSaint Snowかもしれません。あるいは曲の受けて同士かもしれません。

 誰かと互いに見た「私の光(light)」を肯定する(right)のが、このパートです。

  

 

どこへ行っても

それは希望という名の羽だから Fly high

 

 思い返すと、この曲は本来「アキバドームで披露される曲」として生まれました。

 先ほどの歌詞の「光」そしてこの「羽」は、μ'sの「僕たちはひとつの光」を連想させます。

 スクールアイドルとしての輝きを知り、ここで到達点にたどり着いた。

 だからこそ、さらにその先に進もうという曲だ、と感じますね。

 

 余談ですが、同様の背景を持つ「WATER BLUE NEW WORLD」にも「僕たちはひとつの光」を連想させる言葉が多く用いられます。

「WATER BLUE NEW WORLD」が自分たちの旅立ちを語るニュアンスを強く持つのに対し、「Believe again」はあなたと私と、それぞれが旅立つ、というメッセージを持っています。タイトルも「場所」と「あり方」とで対照的ですね。 

 

k-block.hatenablog.com

 

 

 

強さを求めたら

弱さも受け入れてみようよ(My fault!)

 

 かつて「弱い心じゃダメなんだ」*5と歌ったSaint Snowが、「弱さも受け入れてみようよ」と歌う。

 その兆候は「DROPOUT!?」のラストでも表れていました。

 

「今を引き裂いてる」は、一つ前のパートの「胸が裂ける」を受けた表現でしょうか。

「歪める」が在り方を歪めることであったのに対し、「引き裂いてる」「呼べばいいよ!」は足りないものだと認めて補おうという気持ちを感じます。

 

 これもまた、運命的に「Awaken the power」へと続いています。

 あるいは、聖良が自分たちを変えて欲しいとAqoursに託した願いであったのかもしれません。

 

DROPOUT!? の歌詞を考察してみる。 - 今日も主食はカロリーブロック

 

 聖良の視点で、忘れられないこと……。

 彼女がこの曲を披露するはずだった、ラブライブ!決勝の前に語られたのは。

 

 

 

「初めて会ったとき、『なんて弱々しいんだろう』って思ってました。

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 でも、今の皆さんを見て思います。

『なんて頼もしいんだろう』って」*6

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 かつての6人のAqoursの淡い光と、イマのAqoursの頼もしさ。

 その姿を見て、改めて感じたはずです。

「弱さを受け入れることは、強くあるために必要なことだ」と。

 かつての、弱さから目を背け、強さだけを求める姿。

 それは、本当の強さではなかったのかもしれません。

 

 

余裕のない心じゃ 夢は遠ざかるのかも

 

 “余裕のない心”は、劇場版でSaint SnowAqoursに共通した課題でした。

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 先に大切なものを見つけたのはAqoursです。

 淡島での聖良の言葉を手がかりにして。

 

 そんななか、千歌から「ラブライブ!決勝延長戦」の提案を受けた聖良。

 彼女がスマートフォンを胸に、噛み締めたのは、きっとルビィの言葉です。

 

「ルビィ、向こうでお姉ちゃんと一緒に歌って、分かったんだ。

 お姉ちゃんたちはいなくなるんじゃない、って。

 同じステージに立っていなくても、一緒にいるんだ、って。

 理亞ちゃんは、そのことに気づいていないだけなんだと思う」

「理亞ちゃんが叶えたくて、どうしても叶えられなかった夢を!」

 

 みなさんは乗り越え、輝きをつかもうとしているのですね。

 今度は、私の。私達の番です。

 そんなふうに、聖良は思ったのではないでしょうか。

 

 

さあ、生まれ変わろう!

新しくなれ 古い殻を破って進め

できるね できるよ 次の場所へDash!

 

 理亞の向かうべき方向を表したのが、このパートです。

 理亞の中に刻みつけてほしい内容を、歌唱担当として割り振ったと考えると、非常に胸の熱くなるところですね。

 

「古い殻を破って」「生まれ変わろう」は、蝶のような羽化でしょう。

 他に「殻を破る」という表現をするのは、以下のような場合です。

「鳥が卵からかえる」

 ……「古い」に合致しないので除外

「蛇が脱皮する」

 ……ニュアンスは近い。「生まれ変わる」が弱いのと、「破る」の表現から外れている。

 

「できるね できるよ」というやりとりは一見、理亞の自問自答です。

 事実その通りなのですが、こういう感じでも良かったはずです。

 

聖良「できるね」

理亞「できるよ 次の場所へDASH!」

 

 そうしなかったのは、理亞に自分の力で問いかけて、進めるようになってもらうため。

 

 もしアキバドームで歌っていたら、先のような分担になっていたかも?なんて、想像も膨らみますが。

 

「次の場所」は、「(ひとりじゃない)夢」のことを指していると思われます。

  

 

もっと踊りたい

もっと踊りたい

Let's dance (yeah!) dance (yeah!)

止まらないよDance!!

 

 今度は姉妹それぞれで歌唱を分担しているパートです。

「もっと」は聖良、「踊りたい」は理亞ですね。

 

 先のパートと同様なら、ここも理亞だけで良かったのかも?

 いいえ、そんなことはありません。

 先程は、“理亞はこれからも走ってほしい”という内容でした。

 

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 ここで重要なのは、そんな理亞のDanceがどういうものなのか。

 

 Let'sの'sはusの略です。

 usは形を変えると、weつまり“私たち”です。

 だからdanceは、“私たち”のdanceです。

 

 これからもスクールアイドルであり続けるのは、理亞だけ

 その事実は、聖良も知っていることです。

 でも理亞だけじゃない、胸にはもう、聖良の想いが宿っている。

 

 これからの理亞の輝きが、聖良の輝きを内包したものだということ。

 

 だから、本当に聖良の姿を求めるなら、もっとSaint Snowを高みに導くなら、それは新しい理亞の形でこそ、なのです。

 

 このパートを上記の事実を踏まえて聴くと、いっそう大切なものに感じます。

 

 

 興味のある方は、ちょっと、中高レベルの英語の話をしましょう。

「Let's dance」は分解するとLet us dance.です。*7

 letは“許可”のニュアンスを持った動詞(使役動詞)です。

 usはweが形を変えたもの(目的格)です。

 danceは動詞ですが、ここでは前にtoが省略されていて、“踊ること”という名詞的な使い方をします。to不定詞というやつですね。

 

 さて……使役動詞を用いた文は、S(主語) V(動詞) O(目的語) C(補語)という形。(私は英語に明るくないので、例外があるのかとかは知りませんが)

 Let(許す/V) us(私たちに/O) dance(踊ること/C).というように当てはめていくと……主語がない、ということに気づきます。*8

 この主語をどう捉えるかを妄想するのが、またエモです。

 例えばI(私/聖良)であれば「いつでも私の想いは、理亞の中で共にある」ということになります。

 You(あなた/理亞)であれば「あなたの可能性と私の想いを、理亞自身が信じてあげて」というメッセージです。

 他にも、いろいろな主語の可能性がありますよね。こういう余白の想像もまた、歌詞考察の醍醐味です。

 

 以上、ちょっと長いLet's danceの話でした。

 

 

Believe again

すべてを抱きしめながら

 

「すべてを」というのは、アニメ一期第13話で千歌が語っていた内容とリンクします。

「全部を楽しんで、みんなと進んでいきたい。

 それがきっと、輝くってことだと思う!」

 

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 その大会でAqoursは、決勝に進めなかった。その後、廃校を免れなかった。*9

 同じ大会でSaint Snowは、決勝大会に駒を進めていました、が。

 同じ舞台(ラブライブ!決勝)に立ち、そこで最高のパフォーマンスをすることで、初めて先駆者の輝きに手が届く。

 その筈が、辿り着いた場所には何もない。

 悔しさとは全く別の、全力を出しても手のひらからこぼれ落ちてしまうという、決定的な挫折です。

 

DROPOUT!? の歌詞を考察してみる。 - 今日も主食はカロリーブロック

 求めていたものに手が届かず、その後アキバドームに立つことは無かった。

 

 けれど、それらすべて」がなかったら、多くの人の心を動かした「決勝延長戦」は行われませんでした。

 だから輝くために、少なくとも彼女たちにとって、「すべてに意味はあった」のですよね。

 

 

Believe again

また始まるんだ (Shout my song!)

 

「Believe again」というタイトルは、命令形なのですよね。

 きっと自分だけでは、信じられないときもある。

 だからこそ、スクールアイドルを離れる聖良が、一歩引いたところからエールを送れるような言葉を選んだのだろう、と思います。

 

 ところで。

「again」「また」と強調されますが、なぜ「one more」ではないのでしょう。

 結論は、この曲が「出来事」の曲ではなく「在り方」の曲だからです。

 

 one moreが用いられる曲といえば、当然「One More Sunshine Story」ですね。これは、ひとつひとつを重ねて輝きを紡ぐAqours、そして千歌の、次なる出来事を導く歌です。

 対してこの「Believe again」は、特定の出来事に対するアプローチではなく、人物の在り方についての曲です。数えるものではありませんね。

 

「Shout my song」は、そんな理亞の再スタートの形を示した歌詞です。

 重要なのは、ourではなくmyであること。

 聖良の想いを胸に秘めて進化していくけれど。

 その上で放たれるのは、理亞の歌でなくてはならない。

 

 

本気だって言わなくってきっと伝わるよ

何度でも熱くなれ自由になれ

 

 このパートの骨格は「伝わるよ」「熱くなれ自由になれ」です。

 ここの歌詞は、誰に「伝わる」のかが非常に重要です。

 

1.パフォーマンス相手/観客

 これがシンプルな解答でしょう。

 自信を持って歌って、そして踊ってね、という。

 だから、何度でも熱く、自由にパフォーマンスをして欲しい、と。

 

2.新しい仲間

 実際に聖良がスクールアイドルを卒業して、新しく生じた意味付けです。

 前のめりな姿勢が招いてしまった、理亞の孤独。

 けれど、その真摯な想いを否定する人は、いなかったはずです。

 だから想いを持ち続けていれば、その姿を受け止めてくれる人がいるはず。

 劇場版のエンディングを見ていると、そんな希望が生まれます。

 

3.聖良/Saint Snow

 理亞にとっての聖良、あるいはSaint Snowの輝き、想い。

 それは目標であり、同時に呪縛のようなものだったのでしょう。

 

 自分が壊してしまった、聖良とSaint Snowの夢を、裏切ることはできない。

 新たなSaint Snowを、輝きを受け継いだ強いグループを作らなければならない。

 函館編でSaint Snowを脱却したはずですが、その思いは再び膨れてしまった。

 強迫的ともいえる思い込みです。

 

 新しい夢を追いかけても、それは聖良/Saint Snowへの裏切りにはならないよ。

 あなたが本気であるならば、それだけで伝わるから。

 縛られなくても大丈夫だから。何度でも、どんな形でも挑戦して。

 そんな気持ちが、この歌詞に詰まっているように思います。

 

 

Believe again

また始まるんだ (Yeah) Yeah!! (Yeah)

Ah 冒険は終わらないよ Let's go

 

 どんなに形が変わっても、それは終わりじゃない。

 新しい形の中で、Saint Snowと聖良の輝きは生き続ける。

 そんな意思が「終わらないよ Let's go」から感じられます。

 Let's goということは「一緒に行く」んですからね。

 

 基本的には劇場版で披露されたのは、ここまで。

 二番以降の歌詞は、この記事では補足的なものとして書きつつ、タイトルについても考えます。

 

 

どんなに楽しい場所も

永遠(とわ)じゃないからね そろそろ出発 (Time over)

 

 二番以降は、一番の歌詞との対比が楽しいですね。

「消えない光に気がついた」の裏にこれを持ってきて、「最後に気づくことができたから、悔いなく先へ進めるよ」の意味を感じます。

 これは、聖良が安心して卒業できるという意味にも取れますし、理亞の出発を祝福するようにも捉えられますね。

 

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どこへ行っても

胸に温かい思い出が眠る My life

 

「温かい思い出」が「希望という名の羽」と、

「My life」が「Fly high」と、それぞれ対応しています。

 

 Saint Snowとしての日々はこれから、飛び立つための翼になるのですね。

 

 

重くて飛べなかった

こころ脱ぎ捨て鮮やかに (Step out!)

 

 言葉が足りない気がするので、リズム感を無視して書くと、こんな感じ。

 

「自分を縛り付けていた感情が、重くて飛べなかった」

「こころに刻み込んだ今なら、その枷を脱ぎ捨てて鮮やかに進んでいける」

 

 こころ(私)が、こころ(重い枷)を脱ぎ捨てる、ということ。

「こころ」の単語ひとつでスッと理解させる作詞家、本当にすごいですよね。畑亜貴さんっていうんですけど。

 

「Step out!」は「DROPOUT!?」を意識した表現かと思います。

 あちらが脱落を意味したのに対し、今回は「外出する、歩調を早める」の意味。

 ポジティブな変化ですね。

 

 

変化を受け入れよう 夢も進化の時だと

もう、わかってきたね!

 

 劇場版を観た方ならお分かりですね、直球のメッセージ。

 また、歌詞としては「心に余裕を持とう」と「生まれ変わろう」の意味に対応する部分です。

「変化」「進化」という言葉を重ねるのは、進むことをより肯定的に捉えてほしいからでしょうか。

 

 でも、ここまで言えばもう、理亞には伝わってくれる。

 そんな思いなのか、ここからの歌詞は非常にシンプル。

 以降の歌詞は、ほぼ全て「ありのままのあなたで」に集約されます。

 

 

前を向くんだ そして想いのままに進め

できるね できるよ 先へ先へ Dash!

 

 で、このシンプルな歌詞です。パート分担は一番と変わりません。

 内容がクリアになったことで、理亞が何を「分かってきた」のかが見えてきましたね。

 

 

今日も踊って

今日も踊って

Let's dance (yeah!) dance (yeah!) 止まらないよ Dance!!

 

 danceがどういうものか、については、先程説明した通りです。

「今日も」ということは、いよいよ理亞にここまでのメッセージが伝わった、ということ?

 

 この歌詞を考えている段階ではそんなことは分からないはずなのですが、その辺りも聖良の希望でしょうか。

 それとも、そういう歌詞の流れを作ることによって、理亞の理解を促すということかもしれません。

 

 

Be wild again

誰より激しく生きて

Be wild again

やり残さないで (Shout my song!)

 

「Be wild againは、そのまま「誰より激しく生きて」と読み替えていいと思います。

 wildには荒れた、激しい、というような意味がありますが、自然のままの、という意味も持っています。

 これは“未開の”というニュアンスなのですが、「ありのままのあなたで」の文脈を補強していますね。

 againは、Saint Snowで共に過ごした“鹿角理亞”がwildであったということ。

 あるいは、スクールアイドルである以前に、理亞が持っている性質を指しているかもしれません。

 

 理亞は理亞としてのスクールアイドルを全うして欲しい、との願いが感じられます。

 

 

待ってなんて言わないよ みんなそれぞれの

夢があって未来へと向かうだけさ

 

 前半が聖良の、後半が理亞のパートですね。

 理亞視点と聖良視点と、どちらが「待ってなんて言わない」のでしょうね。

 

1.理亞の視点

 理亞は卒業する聖良を追うのではなく、自分の夢と未来を追ってほしい。

 そんな意図で聖良が書いたのだとしたら、これまでの内容と合致しますね。

 

2.聖良の視点

 実は、こちらの視点でも解釈が成立します。

 これからもスクールアイドルとして進むことができるのは、理亞のほう。

 本当はSaint Snowとして一緒に叶えたかった夢ですが、それを言ってしまうと、これからの理亞にとって枷になってしまう。

 だから聖良は「自分は理亞を引き止めない、自分も卒業していくのだから理亞も前に進んで」という言葉を残したのだ、とも思います。

 

 

Be wild again

やり残さないで (Yeah) Yeah!! (Yeah)

So 遊びじゃないよ Try and let's go

Shout shout, Shout my song!

 

「遊びじゃないよ」とは理亞の必殺技ですが。

 この歌詞こそ、聖良から理亞へ、最大限の敬意を感じるパートではないでしょうか。

  soというのは、ものすごく適当なことを言うようですが、「そう」と訳せば意味が大体通ります。*10

 聖良もまた、理亞の真摯な気持ちに同調していますね。

 

 

 このTry and let’s goのandは、どことどこを接続しているのでしょうね。

 主語がないので、Try(挑戦しなさい)そしてLet’s go(一緒に行こう)なのか。

 それとも、Let’s go and try(一緒に行こうそして一緒に挑戦しよう)なのか。

 

 でも、その後のShoutはmy songと続いているので、文脈を考えたら、主語もきっと一人。

 そう考えると、前者の解釈が正しいような気もしてきます。詳しい方、ぜひ教えてください。

 

 

Now we can go, we can go Ah もっと信じて

we can fly, we can fly So どんな夢も

We can go, we can go Ah もっと信じて

we can fly, we can fly So きっと叶う Yeah!

 

 意訳すると

「今ならどんな夢だって叶えられる。羽ばたける。だから、私たちの過ごした時間を信じて」

というところでしょうか。

 

 どんな夢も叶うということ、羽ばたけるということは、そのまま読み取ることができます。

 では、信じる対象は何なのか。

 はじめは「夢かな?」などと考えたのですが、夢は叶えるものなのですよね。

 もちろん夢は夢で信じてあげないといけないのですが。

 

 曲のタイトルは「Believe again」です。

 このタイトルにも「何を(信じる)」という言葉が、本当は隠れているのかもしれません。

 

Believe again believe again believe again

Dance dance dance 止まらないよ Dance!!

 

 そんな行間を読んでくれ、と言わんばかりです。

 believeとdanceは命令形ですね。なので「もう一度、信じて、信じて、信じて……踊って、踊って、踊って」となります。

 

 さて。クドいようですが、danceは“私たち”のものです。

 実際に踊るのがSaint Snow二人ではなく、理亞だとしても。

 

「止まらないよ」はもちろん、danceが止まらないという捉え方もできます。

 ですがもう少し踏み込んで

「Dance dance danceと続けたことで、何かが止まらず、またdanceが始まる」

という読み方をしてみると、どうでしょう。

 

 Saint snowとしてリリースされた曲、ここまで3曲。*11

 あるいはそれぞれの大会で予備予選、北海道予選、決勝と用意されたのが、3曲ずつ。

 この決勝を区切りとして、でも「止まら」ずに、次のdanceがまた始まる。

 そんな風に考えたら、ここのdanceひとつひとつが、とても大きな意味を持っている気がしますね。

 

 

 そんなところから私は、聖良が理亞に信じてほしかったのは「私たちの過ごした時間」ではないか、と想像します。

 タイトルの、信じてほしいもの。

 それはきっと、二人の胸に刻まれた、確かな「輝き」なんです。

 

 

Believe again

すべてを抱きしめながら

Believe again

また始まるんだ (Shout my song!)

本気だって言わなくってきっと伝わるよ

何度でも熱くなれ 自由になれ

Believe again

また始まるんだ (Yeah) Yeah!! (Yeah)

 

 そんな聖良の想いを肯定するように入る、理亞のバックコーラス。

 歌詞以外のところから意味を取るのは、もう想像というか、妄想の段階かもしれません。

 けれど、理亞が自分の感情を確かに残せる部分って、ここなんですよね。

 

「Over The Next Rainbow」最後の聖良パートに通ずるものがあるかもしれません。

 それぞれ相手の作った曲*12の最後に、自分の感情を乗せて歌う。

 こうやって二人は対等なパートナーとして、Saint Snowを完成させるのでしょうか。

 

 

So 遊びじゃないよ Let's go

Ah 冒険は終わらないよ Let's go!

3,2,1,Go!

 

「3,2,1」は、どことなく「SUNNY DAY SONG」をも連想させます。

 新しいスクールアイドルを受け入れる曲ですから、その最後を飾るにふさわしいかもしれませんね。

 

 ともかく、ここでも「Let's」です。

 どこまでも、Saint Snowとしての輝きは消えないんですね。

 

 

 
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まとめ

 

 さて、こんな風に歌詞を見てきましたが、いかがでしょうか。

 劇場版で聖良が語ったことがそのまま、というようなところで。

 

Aqoursとの出会いを通して、聖良の考え方もまた変わっている。

理亞は理亞としてのスクールアイドルを全うして欲しい、との願いが感じられる。

・聖良が理亞に信じてほしかったのは「私たちの過ごした時間」ではないか。

 

 こういったところを読み取ることができました。

 

 

 細部に宿る想いを想像しながら、歌詞を見つめてみる。

 それが、歌詞を読み解く面白さ。

 どこかワンフレーズでも、「その発想は無かった!」「歌詞の内面を想像するのって面白い!」と思ってもらえたなら、心から嬉しいです。

 

 それではまた、何かの記事でお会いしましょう。 

 

*1:作詞:畑 亜貴/作曲・編曲:河田貴央

*2:アニメ2期第9話Aパートより。

*3:TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!! 』公式サイトより

*4:Aqours「ホップ・ステップ・ワーイ!(畑亜貴・詞)」より

*5:Saint SnowSELF CONTROL!!(畑亜貴・詞)」より

*6:二期第12話Aパートより

*7:とはいえ、Let'sとLet usとでは語感、ニュアンスが微妙に異なるので、きちんと話せる方は使い分けているようです。ここでは文法の話として、同じものとして扱います。

*8:いや、そんなんしなくても、Let's ~には主語が無いのですが。

*9:まるで「あの時決勝に行けていたら阻止できた」ような書き方をしてしまいましたが、その可能性だってあったはずです。

*10:この「そう」はyesというよりは、「こういうわけで」という意味合いですが、神経質になるほどの問題ではなさそうです。

*11:Believe againを除く

*12:Saint Aqours Snowの作詞担当が今回も理亞とルビィだろう、というのは、想像の範疇を出ませんが。