今日も主食はカロリーブロック

ラブライブ!やラブライブ!サンシャイン!!に関することを、時折思いつきで書いていこうと思います。

DROPOUT!? の歌詞を考察してみる。

 

※記事中に、以下のネタバレが含まれます。お気をつけください。

・アニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」1期、2期の軽微なネタバレ

ラブライブ!サンシャイン!! 2nd season挿入歌シングル収録曲「DROPOUT!?」のフル歌詞のネタバレ

・その他、ラブライブ!関連楽曲に関する軽微なネタバレ

 

  

ご挨拶

 

 こんにちは、ぶろっくです。

 新宿に用事があったので、ついでに秋葉原にも行ってきました。

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 Saint Snowさん、宙返りの地も。

 

 

 

 今回はTwitterでもチラチラ言っていたように、こちらの曲について考えていきます。

 


【試聴動画】TVアニメ『ラブライブ!サンシャイン!!』2期 第9話挿入歌 「Awaken the power」C/W「CRASH MIND」「DROPOUT!?」

 

 はい。こちらの三曲目、Saint Snowの「DROPOUT!?」です。

 

 実はこの曲、私ははじめ苦手意識を持っていました。

 なんでこの曲に、こんなに激しいツーバスが……と。

 けれど歌詞を聞き取っていくうちに、そのアンバランス感がSaint Snowを物語っているのだな、と感じるようになりました。

 

 それでは、歌詞本編を見ていきましょう。

 今回は、Saint Snowの、特に作詞作曲担当であり二期8,9話であまり想いを語られなかった聖良を中心とした物語を、歌詞を追いながら考えていきます。

 前回よりも、すんなりと呼んでいただける記事を目指しました。文字数も前回の約半分です(笑)

 

歌詞考察 

 

ここまで来ても答えが
わからない 迷いの中
つかんだはずの光は 本物じゃなかった

闇に飲み込まれて

 

 アニメ一期12話で「A-RISEやμ’sの何がすごいのか、何が違うのか」「勝ちたいか」という問いかけに対して、聖良は次のように答えています。

 

 「勝って追いついて、同じ景色を見るしかないのかも、って。」

 「勝ちたくなければ、なぜラブライブ!に出るのです?」

 「μ’sやA-RISEは、なぜラブライブ!に出場したのです?」

 

 彼女たちもまた、スクールアイドルとしての輝きを探す最中。

 その答えを見つけるためには、同じ舞台……ラブライブ!決勝に立ち、そこで優勝するしかない。

 Aqoursが地方予選で敗退したあの大会で、ラブライブ!の決勝まで駒を進めていたSaint Snowのふたり。

 μ’sや、彼女たちが憧れたA-RISEの高みに限りなく近づいたふたりですが、その景色はふたりに光を与えてはくれませんでした。

 

「ここ」はラブライブ!前回大会の決勝であり、この曲が歌われた予選でもあるのでしょう。

「迷い」は偉大な先駆者たちの輝きに辿り着けないこと。

 今のスクールアイドルの誰もが、パフォーマンスがどれほどうまくても、肩を並べたと思うことができない。

 二期6話で聖良はその先駆者の輝きを、「決して、手の届かない光」と表現しています。

 聖良は決勝大会の経験を二期12話で、こう語っています。

 

「自分の視界、全てがキラキラ光る。まるで、雲の上を漂っているようだった」

 

 求めていた光を手にしたように思えたふたりですが、結果としてA-RISEやμ’sのようになることができませんでした。

 

 

 

DROPOUT!?
置き去りのpassion 予想外situation
何を悔いたってlost a sensation

 

必ず手に入れるはずの
輝きはどこにある?

 

 ラップになっているので英語部分は韻を踏んでいるのですが、ここに”sensation”が用いられています。

 これによって、前の歌詞の出来事から内面に踏み込んだ、ラブライブ!前回大会決勝での心情ではないかと考えることができます。

 

 “DROPOUT”とは直訳で「脱落」のこと。

 ふわふわと見る夢のような感覚の中で、高まって行く熱量に反して、その輝きは見つからない。

 

 同じ舞台(ラブライブ!決勝)に立ち、そこで最高のパフォーマンスをすることで、初めて先駆者の輝きに手が届く。

 その筈が、辿り着いた場所には何もない。

 悔しさとは全く別の、全力を出しても手のひらからこぼれ落ちてしまうという、決定的な挫折です。

 

 

 

それでもGo to the world 止められない
出口のない夢の先を

探そうGo to the world 孤独がただ

今を歪めるなら 誰を呼びたいの?

 

 それでも、これは意地のようなものなのか、諦めきれずに再びその景色(= “the world”)を探します。

 到達したはずが、ゴールがどこにも見つからなかった、ふたりの「夢」。

 かつて歌の中で「孤独なほうが届きそうだから」と口にしていましたが、μ’sもA-RISEも孤独ではありませんでした。

 輝きを見つけられない自分たちを省みて、もしかしたら輝きを増していくAqoursの姿をみて、孤独であることが正解ではないと感じたことがあったのかもしれません。

 いつでもストイックで不器用な彼女たちらしい迷い、葛藤です。

 けれど、そのスタイルを貫いてきた彼女たちには、孤独でなくなる、とはどういうことか、自分たちでは分からない。

 

 あくまでも想像ですが、もともとふたりは夢に向かうための繋がりの力を、馴れ合いであり、余計なものだと考えていたのかもしれません。

 「誰を呼びたいの?」は、聖良としては自分への問いかけのようですが、理亞は孤独を貫く自分と本番前にAqoursを呼ぶ姉とのギャップを感じていたのかもしれません。

 聖良は同じく輝きを求めるAqoursとの親交を深めていきますが、それが理亞の目にはどのように映っていたのでしょう?

 それもこれも全て姉の、Saint Snowのための努力だというところに、理亞の可愛さ、強さ、優しさを感じますが。

 結果は皮肉にも、いつも隣にいるお互いのことさえ見えなくなり、予選での失敗を招いてしまいます。

 

 

 

いつでも意味を求めて
叫んでる 心の鼓動
確かなものが見たくて 走り続けてたら
闇に愛されてた

 

 「意味」は輝きを、「確かなもの」は眼前で確実に輝いている先駆者たちの輝きを、それぞれ指していると思われます。

 少し前の歌詞にあった「必ず手に入れるはずの」も似たような意味を持っています。

 それはAqoursが辿り着いた「自分の輝き(『MIRACLE WAVE』)」「見たことない夢(『青空Jumping Heart』)」とは、対極の表現。

 決して手の届かないその光は、Saint Snowのためのものではないのです。

 そのことに聖良は気づいていますが、まだふたりでそれを表現することはできません。

 

 Saint Snowの音楽は、目指したものは、力強く、打ち勝つ音楽。

 けれどその歌詞に表現される心は、実は常に弱者の物語です。

 自信のない自分を鼓舞して、経験を糧にして、弱い自分と決別する、打ち克つ物語。

 そのズレが、ふたりに無理を生じさせてしまったのかもしれません。

 

 ただ、その思春期ゆえの危うさ、繊細さと強さのギャップがSaint Snowの最大の魅力であると、私は考えています。

 誤解を恐れずに言えば、優勝しないことで輝くグループなのではないか、とすら感じています。

 

 

DROPOUT!?
悲観でcuration 悪徳へnavigation
それは嫌だってblock your imitation

 

 “curation”は情報を整理すること、というようなニュアンスでしょうか。

   “navigation”は帰りにチーズバーガーmgmg 目的語として「自分を」と付け加えると「悪徳へ自分をnavigate」となり、意味が通りやすくなりますね。

 “imitation”はコピーや物まねのこと。

 

 ラップのパートを意訳するのはセンスがないような気がしないでもないですが、あえて私なりに意味を拾っていくと、こうなります。

 

 その光は私たちのものにはならない。

 悲観にくれて、必死に悩んだ。

 (その嘆きから、)輝きから自分を遠ざけようとしていた。

 それは嫌だから、私たちはマネすることをやめるんだ。

 

 ”block your imitation”は「マネをするな」という命令ではなく、自分が「マネをしない」ということでしょう。

 スクールアイドルにとっての「悪徳」とは何かを考えたときに、AqoursSaint Snowに共通することですが、「輝かない」ということであると考え、こういった言葉のチョイスになりました。

 

 

 

空の色が見えないのに
輝きを感じてる!

 

 「空の色」とは、たどり着きたい輝きのことです。

 「WATER BLUE NEW WORLD」を筆頭に、Aqoursの羽が青色に輝く演出がなされていましたが、あの文脈でしょう。

 確実な輝きを追いかけてきたSaint Snowにとって、自分たちの輝きを求めることは、見えないものを追いかけるということ。

 それなのに輝きを感じるのは、そこの先でふたりが一皮剥けるのだということを暗示させてくれます。

 

 

痛みでOut of the world 胸が裂ける
こぼれ落ちた夢のかけら

拾えばOut of the world 嘆きのあと

いつか動き出せる だから顔あげて

 

 一番の”Go to the world”が先駆者たちの輝く景色を目指したのに対して、こちらはその景色から抜け出しています。

 追いかけることをやめたふたり。ここでも「夢」を叶えるためには痛み、苦しみを伴います。

 Saint Snowの場合は、それまでずっとふたりで胸に抱えてきた「夢」を問い直さなくてはならない苦しさ。

 Aqoursにとっては「気づくこと」であったこの問題は、Saint Snowにとっては自分たちの全てを見つめ直す必要を迫られるほどのものです。

 鮮烈な痛みを伴う歌詞の文言に反して、微かに希望を持った言葉でサビのパートが締められています。

 それでも北海道予選を突破できなかった彼女たちは、未だこの苦しみの最中に囚われているようにも感じられました。

 

 

 

抑えることなど できない力
持て余してるこの想い

明日が描けない時も夢は 熱く蠢いてる

 

 この歌詞は、二期9話挿入歌「Awaken the power」に続いているようですね。

 スクールアイドルとして、自分たちだけの輝きを求めはじめたSaint Snowのふたり。

 全く新たな挑戦とも言えますが、その輝きにかける熱量は非常に大きい。

 一期の挿入歌が「SELF CONTROL!!」であったのに対して、ここで「抑えることなどできない」と表現しています。

 彼女たちの不安やワクワク、自分に感じている可能性、そういったものを垣間見ることができます。

 

 

それでもGo to the world 止められない
出口のない夢の先を

探そうGo to the world 孤独がただ

今を引き裂いてる 誰を呼びたいの?

呼べばいいよ!

 

 一番サビから「歪めるなら」が「引き裂いてる」に変わり、最後に「呼べばいいよ!」が追加されています。

 

 落ちサビからの流れで行くと、今度の"Go to the world"は自分たちの景色というニュアンスで良さそうです。明日が見えなくても、その熱量を持って先へ進んでいける。

 同じ歌詞でも、そう見ると持っている意味合いが全く変わってきますね。

 

「今を引き裂いてる」は、一つ前のパートの「胸が裂ける」を受けた表現でしょうか。

「歪める」が在り方を歪めることであったのに対し、「引き裂いてる」「呼べばいいよ!」は足りないものだと認めて補おうという気持ちを感じます。

 これもまた、運命的に「Awaken the power」へと続いています。

 あるいは、聖良が自分たちを変えて欲しいとAqoursに託した願いであったのかもしれません。

 

 

まとめ 

・この曲は、Saint Snowが自分たちの輝きを見つけようとするまでを描いた曲と捉えることができる。

・歌詞中の DROPOUTには「輝きを見つけられなかったこと」と「今までの自分たちのスクールアイドル像から抜け出すこと」の意味が込められていると考えられる。

・これから輝きを探していくという、期待の歌でもある。

 

 いかがでしたでしょうか。

  非常に強い曲を揃えているSaint Snowですが、その裏側にある繊細さにも注目すると、彼女たちの物語にも興味が生まれます。

 歌詞を読み解いていくにあたり、個人的に難儀したのは二番頭の「意味」「確かなもの」の解釈でした。

 こういうストーリーがアニメとリンクしているような歌詞考察をするときは、軸をしっかり持って歌詞と向き合うことが重要だな、と再確認いたしました。

 それでは皆さま、またお会いしましょう。