(2020/4/14 追記:nasalfireさんがこの記事を英語に翻訳してくださいました。別の言語で読み解く面白さも感じられるかと思いますので、英語を読めるという方はぜひ、併せてお読みください。)
こんにちは、ぶろっくです。
ついに!虹ヶ咲のユニットシングル3枚が発売されましたね。
私も購入しまして、毎日ぐるぐると色々聴いています。
で、今回は。
こちら。QU4RTZの二曲目「Beautiful Moonlight*1」について考えてみます。
この曲は
・英語の意訳
・歌詞内での言葉の繋がり
に、特に読み解き甲斐があります。
タイトルや歌詞中の「(Beautiful) Moonlight」という言葉は何を表現したいのか?
なんていうことも考察しながら、この曲のことを考えていきます。
では、さっそく読んでいきましょう。
なお、パートの色分けは以下のようになっています。
私の耳で聞いた限りのことなので、確実性は保証しません。
かすみ
彼方
エマ
璃奈
夜に浮かぶ白い月が
窓辺そっと照らしてる
この「白い月」が満月なのか?三日月か?という疑問について、m00c(むーく)さんがとってもわかりやすい解説を下さいました。
「夜に浮かぶ白い月」
— m00c(むーく) (@m0_0c) 2020年2月20日
高度(角度)の低い月が大気の影響で赤(黄色)っぽくなるのは夕焼けと同じ原理なので、そこそこ高い位置にある。
月の満ち欠けと見える位置の関係を考えて、満月なら日没から数時間経ってますね。
この曲でイメージしておくべき「月」の形は、どうやら満月でよさそう。
月齢で月の出入りの時間は変わりますが、満月の月の出の時刻は曲の解釈にも使えそうです。
わざわざ「窓辺そっと照らしてる」と言うからには、「わたし」は月明りの中にはいなさそうですね。外側から見ているようです。
窓というのは、「外から隠された場所」「外との接点」という相反するイメージを持っています。*2
なので、月が照らす先を見ている様子からは「きみとは離れてしまっているけれど、繋がっていたい」という気持ちを連想することができます。
放課後のカフェ きみと飲んだ
ホットミルクティーの味
次の「思い出してる」に繋がる部分ですね。どうやら、放課後は「きみ」と一緒にいる時間のようです。
放課後に一緒にカフェに行くくらいですから、かなり親密な関係。
「きみ」との接点の象徴として、歌詞中に何度か「ミルクティー」が出てきます。
ここも「きみ」への感情を考えるヒントになっていて、ここでは「ホット」だということが分かります。
なお、先取りしてしまうとカフェで飲んだミルクティーは「恋を連想させるもの」として登場します。
味わいは、とろけるような甘い味だったようです。
Everyday and Night(どんなときだって)
思い出してる
Anywhere Anytime(いつもどこでも)会いたい 会いたい
()内に意訳を書きました。英語のパート(3年生)は、日本語のパート(1年生)を補足・強調するような内容ですね。
「きみとは離れてしまっているけれど、繋がっていたい」という気持ちが、ダイレクトに出ている歌詞です。
You’re always on my mind(きみが頭から離れない)
次の約束まで
もう待てないな…
カフェで一緒にいたのは放課後です。
ただ、クラスなど学校であまり顔をあわせる仲ではないのか。次に会えるのは、特別に約束したときのようです。またカフェですかね?
ところで、「次の約束」ということはその前にも約束があった可能性が高い。それはおそらく先ほどカフェで会っていたときのこと。
二人は約束を重ねている、と。
もしかしたら……
会いたいのは「学校で偶然に会うきみ」ではなくて、「わたしと一緒にいるときのきみ」
つまり、「既に二人は付き合っている」のではないでしょうか。
もちろんそうとは限りません。片思いで、恋仲ではないけれど非常に親密、かも。
ただその場合は、もっと「会っているときの胸の苦しさ」なんかも表現されていいのではないかと思うのです。
なにより、そうやって読むと幸せが溢れすぎてニヤニヤがとまりません。
違う学校の可能性もありますが……ここまでくると、「帰り道はどうなっているのか」などの想像をさらに重ねる必要がありますね。
Beautiful Moonlight
ひとときの Goodbye
この後の二番の歌詞によると、日が沈むまでが会っていられる時間のようです。
なので、「Moonlight」は「きみと離れている時間」のことを表現しているわけですね。
ここは「月の出ている時間は会えない」として成立します。
そして、先ほど「付き合っているのでは」と考えた理由が「ひとときの」という歌詞です。
「ひととき」は「一時的」という意味です。
満月の出る時間(=夜)*3は会えなくて、それは一時的なもの。
読み替えると「明日にはまた会える」ということになりませんか*4。
恋する相手と今日カフェで一緒、明日も約束をしている。
そんな会えない時間(Moonlight)の切なさも、また美しいと。
なので、タイトルの「Beautiful Moonlight」は「切なくも美しい、会えない時間(のこと)」そして「きみといたくて、胸が痛いよ」みたいなニュアンスで捉えてあげるといいのではないでしょうか。
……やっぱり、付き合ってません?
きみの声が恋しくなって
ひとりきり Tasting
ちょっとほろ苦いかな
味が登場するのはミルクティーだけ。
ここでTasting(味を見る)するのもミルクティーです。「きみ」との時間や、そのとき飲んだ味を思い浮かべながら。
でも、君の声が無いと少し苦く感じてしまう。
・ここは「きみ」と過ごしたカフェではなく、別物を飲んでいるから
・「きみ」がいないことに頭がいっぱいで、そんな気持ちから苦さを感じるから
このふたつが主な理由でしょう。
おやすみ Moonlight
見守って All Night
ぎゅっとまぶた閉じても 浮かぶきみの顔
この歌詞は面白いですね。
読み方は、次の二通り。(いや、このパターン多いですね、私。)
1.(わたしが)月に見守ってもらいながら眠ると、まぶたの裏にきみの顔が浮かぶ
まっすぐに読むと、こういう文章です。
月が照らしているのは自分の家の窓辺。
窓から月が見守ってくれて、そんな中で大好きな「きみ」を想って眠る。
うん、なにもおかしなところはないですね。
2.(わたしが)きみの顔を思い浮かべてまぶたを閉じても、お月さまは夜の間、(きみの顔を)見守っていてね。おやすみ。
本命はこっち。
「Moonlight」が「きみと離れてみて、どうか」というポイントで使われています。
既にのぼった夜の月。あとは眠って、月が沈んで明日にはまた会える。
それまでの間、会えない「きみ」を見守ってね、という歌詞です。
夢で会いたいなぁ Ah
でもやっぱり会いたい。
「夢で会いたい」ということは今は実際に会ったり話したりできないということなので、おそらく電話もできないような時間なのでしょう。
このご時世の高校生ユニットが、この曲調で、「家の電話は親の都合で……」とは言うまい。
きみと過ごす時間はなぜ
一番はやく過ぎてくの?
ここから二番です。
今度は場面が変わって、「きみと過ごす時間」の話。
一番の翌日以降という見方もできますし、一番の日に別れる前とも取れます。
どうも逢瀬(もう逢瀬って言っちゃう)を繰り返しているようなので、そのあたりは想像にお任せでいいのかな……と思います。
特定のある日ではなくて、いつものこと、というように読むとそれっぽい。
日が沈んで 帰らなくちゃ
タイムリミット ギリギリ
あるスクールアイドルは「楽しい時間はいつもあっという間で」と語っていましたが、こうやって時間は流れてしまう。
そんな時間の少しでも多くを一緒にいたい気持ちが伝わってきます。
「日が沈んだら、きみとの時間は終わり」ということを示しているパートです。
満月の日に地平から月が顔を出すのはおおよそ17時頃。
そのくらいをタイムリミットとして、別れてから家に着いて、夕食を食べて、勉強をしたりして、一番の歌詞のように物思いに耽るのは22時ころでしょうか。その頃には、いい感じに月が昇りそうですね。
The way back home(いつもの帰り道)
胸がイタイよ
Walk so slow(もっとゆっくり歩こう?)足りない 足りない
そんな、帰り道の心情。
帰ってからは「早く会いたい」という切なさが大きかったですね。
これから別れるという帰り道では、当然「もっと一緒にいたい」ですね。
Wanna be with you more(もっと一緒にいたいよ)
少しでもいい
時を止められたらな…
普段も四六時中「会いたい」と思っているわけですが。
こういうときに「ずっと時が止まれば」ではなく「少しでもいい」と考えているあたりが、藁にも縋るというか、本当に胸を締め付けられているんだと感じてキュンとしますね。かわいい。
実際には時が止められないと知っている言い方なのが、なおさら切ないです。
また、付き合っているとしたら「また会えるって分かっているけど、それでも欲張りになってしまう」という意味の歌詞になりますね。
あー、もう可愛すぎてにやけてしまう。考察どころではない。ただの好み。
Beautiful Moonlight
したくないよ Goodbye
別れ際 また寂しくなって
別れ際なら、まだ月はのぼっていないはずです。
であれば、ここの歌詞は
「お月さま、まださよならしたくないからのぼってこないで」
「切ない別れの時間(夜)を連れてこないで」
ということ。
そして会えない時間の切なさを知っているから、「また」寂しくなる。
離れてく Distance
ちょっと切ないかな
「Distance」は、距離のこと。
「きみ」が離れていくにつれて月がのぼってくるので、だんだん切なくなってきますね。
なんて、ここの歌詞を読むとそれまでの解釈の答え合わせができます。
私が歌詞の記事を書くと二番以降の内容が少なくなる傾向にあるのは、「書くべきことは一番にあって二番ではその解釈の答え合わせをしながら読む」ことが多いからです。
あと少し Moonlight
変わらないで Red Light見送った背中が小さくなっていく
「あと少し」の後には「待って」みたいな意味の言葉が省略されていますね。
月がのぼる。赤信号が変わる。どちらも「きみ」との別れをもたらすものです。
そんな願いとは裏腹に時間は過ぎて、別れの時間はいつも通りやってくる。
いつだって会いたいなぁ
また別れがやってくると、会いたくて切ない時間(Beautiful Moonlight)がやってくるんですね。すぐに月はのぼってきます。
ちなみに、このCDの発売は2月12日でした。
国立天文台ホームページ*5によれば日没は17:19です。満月ではないので月の出は少し違いますが……日の入りは今の時期がちょうど曲のイメージかもしれませんね。飲んでいたのもホットミルクティーでしたし。
恋色 ミルクティー
後味 ずっと残ってる
Melty and Sweet
会えない間も「きみ」に会いたいと想いを馳せているわけですが。
会っていた時間の象徴として登場したのはミルクティー。それが「きみ」への感情のヒントになるはずなのですが、ド直球に「恋色」って言ってますね。
これがあるので、曲を通して「きみ」への思いは恋であると考えていられたわけです。
カフェでミルクティーを飲んだ、とろける(Melty)甘い(Sweet)感覚が残っている。
だから、会えなくて切ない時間もずっと恋をしていられるのでしょう。
そして、その余韻があっても「また味わいたい(会いたい)」と思う。
空を飛び越えて 今すぐ行きたい
このパート、エマですね。
「好き」を追って日本へ渡った彼女が歌うこのパートは、すごく重みを感じます。
実際に恋をしたら、それをやってしまうだけのパッションがあるのだろうと感じます。
Beautiful Moonlight
ひとときの Goodbye
きみの声が恋しくなって
ひとりきり Tasting
ちょっとほろ苦いかな
ラストのサビは一番と同じ歌詞ですが、歌唱はソロパートがなくなっています。
彼方とかすみ、エマと璃奈がそれぞれ近いパートのソロを分担していましたが、そこが統合されて、より「いつだってそう思ってる」という感が強調されているように思います。
おやすみ Moonlight
見守って All Night
ぎゅっとまぶた閉じても 浮かぶきみの顔
夢で会いたいなぁ Ah
先ほどふたつの解釈を紹介しましたが、どちらとも読める内容なので、「離れていても月明りの下で一緒にいる」みたいな読み方をしてもいいのかもしれませんね。
そのうえ好きな人と夢の中でも会えたら……いいですよね。「~なぁ」という歌詞もまた、可愛くて好きです。
おわりに
というわけで、Beautiful Moonlightの歌詞を考察しました。いかがでしたか?
最近は「歌詞を読む」というスタンスで記事を書いていたので、こうやって想像を膨らませたり考察をすることは多くなかったのですが……
「曲中でBeautiful Moonlightという言葉の持つ意味」
「実はもう付き合っている」
など、歌詞中で明言されていないけれど状況的にはそう考えるのが自然、という内容が多く見つかったので、久しぶりに「考察」という言葉をタイトルに使いました。
読んでいるうちにもどんどん新しい発見があって……やっぱり歌詞をじっくり読むのは楽しいですね。
ニジガクのこういうブログもまだまだ多くはないかもしれませんが、楽しいコンテンツですからね、盛り上がってくれたら嬉しいですね。
ぶろっく