第11章までの三船栞子について
こんにちは、ぶろっくです。スクスタ*1、楽しんでいますか?
ゲーム性やストーリーその他色々と言われがちなスクスタですが、なんだかんだ私は楽しくプレイしています。
※記事中に、以下のネタバレが含まれます。お気をつけください。
・「スクスタ」メインストーリー第11章までの重大なネタバレ
・「スクスタ」優木せつ菜キズナエピソードのネタバレ
さて、そんなスクスタもリリースからしばらく経ってもうすぐ半年。
メインストーリーも順調に毎月更新されています。
そんな追加配信のストーリーから、今回はこの人に焦点を当てていきたい。
三船栞子。
メインストーリー第8章で初登場した、虹ヶ咲学園の1年生。
虹ヶ咲学園の現生徒会長である中川菜々に対して宣戦布告を行う。
理事会の承認を得て、第9章で生徒会長の再選挙を行う。
その結果新生徒会長に就任し、現在スクールアイドル同好会(以下「同好会」)を廃部にしようとしている。
……とまあ、こんな雰囲気の人物です。
今のところ主人公サイドに立ちはだかる壁ですので、あまり好感を持っていない方も多いのではないでしょうか。
とはいえ私は栞子という人物については、第9章の時点でかなり好感を持っていました。
一番の敵対パート……のはずなのですが、いい子だっていうのがにじみ出ています。
強引だとか色々言われる彼女のこと、ちょっと真剣に考えてみましょう。
主に
・栞子と「薫子」との関係
・栞子と菜々との関係
を中心に、三船栞子の人物像や魅力を見ていきます。
※特に断りがない場合、アンダーラインで示す作中でのセリフは栞子のものです。
三船栞子のプロフィール
三船栞子について、現状でわかっているプロフィールは以下の通りです。
・虹ヶ咲学園の一年生
・次女。三船家は日本有数の名家であり、元財閥の流れを汲む。家ではいつも着物。
・冷静沈着で成績優秀。
・お茶やお花は師範の腕前、ディベートコンテストで優勝の経験あり。
作中で「完璧超人」「人の上に立つ才能がある」とも言われています。
「薫子」との関係について
さきほど赤字で強調したのですが、三船栞子は「次女」であることが明かされています。
ということは、当然ですが姉がいるはず。
この姉なのですが、“薫子”と呼ばれる人物ではないかという予想をする声があります。
薫子とは、高校生にして「スクールアイドルフェスティバル(以降『スクフェス』)」というイベントを作り上げた創設者です。
ではなぜ、この二人が姉妹だと考えられるのか。
人の上に立つ資質がある
栞子は「人の上に立って、導いていく能力に長けている」(せつ菜、第9章第1話)
薫子に直接の言及はありませんが、これまでのスクフェス運営について
「本当にすごいのは1000人ものボランティアをきちんと管理していた運営ね」(真姫)
「そうだね……指示系統がしっかりしてなきゃ混乱しちゃうもんね」(エマ、それぞれ第9章第2話)
と評価されています。
栞子の知識
栞子は第10章第2話で同好会の部室に来た際、スクフェスが中止になったという情報を得ていました。
同好会を廃部にしたい栞子がその情報を得ていることは、なんの不思議もありません。
「スクールアイドルは求められていない、現にイベントも中止になった」
という情報は、彼女なら廃部に関する議論の材料として、持っていて当然と言えるでしょう。
現に、栞子は同好会について調べていた節があります。部員の学業成績についてもそうですし*2、何よりも「優木せつ菜」の名前と姿が一致していることが、その最大の裏付けです。
(2/20追記:お昼休みの放送などで存在を知っていた可能性もありますが、スクスタのストーリーでも放送がなされているかは定かではありません。)
(4/30追記:それまで放送が行われていなかったのは間違いないようです。やはり栞子は独自に「優木せつ菜」にたどり着いていたことになりますね。)
問題は主人公に「三船さん、スクールアイドルフェスティバルのこと知っているの?」と聞かれたときの、栞子の反応です。
画像のみだと分かりにくいかと思いますが、実際のプレイで栞子はたじろぐようなそぶりを見せながら誤魔化します*3。
「スクフェスの中止を知っている」ということを知られるのは、栞子にとって何かしら都合が悪いのではないか?と想像できますね。
これが「スクフェス創設者の妹である」という事実を隠したいから、そんな姉が同じ三船家の人間であると知られたくないから、であるとすると、辻褄が合います。
そうそう。余談ですが。
彼女が実はスクールアイドルのファンなのでは?という説もありますが、これは高確率で「違う」と言えそうです。
第10章第2話で同好会の部室に来た栞子は、μ'sもAqoursも知らなかった。スクールアイドルファンで彼女たちを知らないのは、さすがに無理があります。
これは演技の可能性もありましたが、第11章でμ'sと矢澤にこを評価し、その上で「スクールアイドルをしているなんて……」と語っているので、第10章の初対面の時点では本当に知らなかった、スクールアイドルファンでもない、という線が濃厚です*4。
1.スクフェスの中止は薫子が絡んでいるので知っている
2.優木せつ菜のことは自分が直接かかわって廃部にする相手なので知っている
3.その他大勢のスクールアイドルのことは知らない
まとめると、彼女のスクールアイドルに関する知識はこんなところでしょうか。
名前
二人の名前には共通点がありますよね。
1.◯子という名前
これはもう、見たまんまですが。
ただ、二人とも◯子だから姉妹……というのは無理があります。
実際にラブライブ!に登場する兄弟姉妹はすべて名前に繋がりがありますが、今回の二人はちょっと一般的すぎますね。
もう少し名前を掘り下げていきましょう。
2.「薫」「栞」の繋がり
では「子」でないほうの名前はどうなのか、という話。
まず、漢字の形ですね。見ての通り左右がほぼ対象な漢字同士です。
次に意味です。
薫には「いい方へ導く(薫陶 など)」という意味がある。
栞にも「先導し案内する(道標のニュアンス)」という意味があります。
共通する意味と、「穏やかな、包容力のある」「削り出す」という対極の意味とが同居している。
なんだか……まるで姉妹のようですよね。
それぞれのあり方に、同じ願いをこめたような名前です。
3.音の類似性
私はこの手の学問に詳しいわけではないのですが、シンプルに子音と母音を並べる*5と、二人の名前は
薫子[kaoruko]
栞子[sioriko]
で、ともに7音になります。
このうち、[--or-ko]と4音が共通していること、「る」と「り」がどちらも狭母音のおとであることから、口にするとかなり親和性の高い名前であると思います。
以上のような理由から、あくまでも想像ですが、二人は姉妹であると考えています。
なぜスクールアイドルは無駄?
この点についてはまだ明かされておらず、想像の域を出ない話ではあります。
ですが、彼女の言動から彼女がそう考えるに至った経緯を考えることはできます。
1.無駄ではないものは何か?
栞子は「私は、高校生という将来のための準備期間において、スクールアイドル活動は無意味であると考えています」(第8章第10話)と語るなど、“高校生が”こういった活動をすることを無駄と断じています。
では、逆に何が益になると考えているのでしょう。
「高校時代は将来のためのステップアップを図る時間だというのに……」(第8章第2話)
似たようなことを語っていますが、「ステップアップ」という言葉がキーワードですね。
「あとはソフトボール部で進学先に困ってた子に、部活の実績を考えるともっと目指せる進学先はあるはずと大学の資料を持ってきてくれて凄く喜んでいた子もいました」(かすみ、第9章第4話)
同好会の視点では部活動の改革に熱が入って見える栞子。様々な部活動にアドバイスや手助けを行っていますが、少し毛色の違うアドバイスがこれです。
実は、ソフトボール部は虹ヶ咲学園のなかでたった二つだけ、成績を上げた部活動のひとつでした*6。
そのソフトボール部の子にこうしたアドバイスをするということは、成績が実際に上がる部活動があれば、同様のアドバイスを今後する可能性もありますね。
現在栞子が行っている改革は、生徒がハイレベルな進路選択をできる状況に持っていくためのものなのではないか、と想像できます。
つまり栞子にとって、「無駄」なのは進路・将来に直結しないもの。
反対に「無駄ではない」のは進路・将来のためになるもの。そう考えられます。
そう考えると、スクールアイドルは高校生のうちしかできませんし、どんな成績を残しても栞子にとっては「無駄」といえるのかもしれません。*7*8
2.なぜ進路・将来に拘るのか/スクールアイドル活動は無駄なのか
これについて、まず薫子が栞子の姉である、ということを前提に考えていきます。
薫子はスクールアイドルではありません。栞子が生徒を導くように、薫子はスクールアイドルや運営の生徒を導く立場にあります。
私は栞子がスクールアイドルを「無駄」と断じる背景には、次のような原因があると考えています。
・薫子が導いた生徒たちは、進学や将来にアドバンテージがなくなり、問題になっている。
・なによりも薫子自身が、スクールアイドルにかまけてほかの活動をしてこなかったため、進学に何かしらの支障をきたしている*9。または三船家の人間としてふさわしい経歴が無いため、家の中で肩身の狭い思いを強いられている。
これらの背景があれば、栞子は「スクールアイドル活動は無駄である」と断じるようになるだろうと思います。
この仮説を少し補強するように、栞子自身には華々しい経歴があります。
「ディベートコンテスト優勝」
「一年生にして生徒会長就任、理事会との交渉で追加予算を獲得」
「自分でボランティアに参加」
彼女の進路や将来を不安視する人もいないでしょうし、家族も鼻が高くなることでしょう。薫子に対する心情は定かではありませんが、反面教師にはしているようです。
面白いのは、薫子が約1000人ものボランティアを指揮する立場であったのに対して、栞子が自分でボランティアに参加する立場であることですね。
どちらがいいとかではなくて、対比のようになっていて興味深いところです。
作中での栞子
個人的には三船栞子は、結構好きな人物です。
こうした背景を持っていることを踏まえて、彼女の作中でのあり方を考えます。
スクールアイドルを敵視してはいない
実は栞子は「スクールアイドルをやっている個人」について、否定はしていません。
「(菜々の公約と具体案に対して)前回の討論会であやふやだった部分が立体的に考えられ、これもひとつの生徒会のあり方だと、私も感銘を受けました。私の目指す学園像とは違いますが、もし実現できれば、みなさんが楽しく過ごせる学園になるはずです」(第9章第9話)
「μ'sというグループは凄いのですね。子供たちがあんなに楽しそうに……」(第11章第8話)
「別に敵視しているわけではありません。学生として無駄な活動だと思っているだけです」(第11章第8話)
スクールアイドルにだけ厳しい言葉をぶつける一方で、認めるべき部分があれば認める懐の深さも持っています。
「でも、やはり根底が間違っているわ。この公約で実現される恩恵は、この学園の生徒であるあなた自身にも与えられるものでなくてはならないのよ……」(第9章第8話)
栞子にとって、「生徒会長・中川菜々」と「スクールアイドル・優木せつ菜」は、どちらも自分の理想とする学園のためには「無駄」な存在のはず。
その菜々さえ、ひとりの生徒として、正しく素晴らしい高校生活を送ってほしいと考えています。
だからこそ自分を犠牲にしてはじめて成果を出せる菜々の公約を、栞子は認めるわけにいかなかったんですね。栞子の行動は自分のためにやっていることでもありますが、菜々の場合はそうではないのですから。
……とはいえ、栞子の生徒会長への要求が高すぎることは否めません。菜々とは別の意味で生徒会を私物化しているわけですし、どちらが生徒会長として正しいのかは……ちょっと難しいですね。
次は、そんな菜々との関係について。
菜々との関係
私が栞子を好きな理由は、彼女が作中もっとも、真摯に中川菜々と向き合った人物だからです。
「大好きを実現できる学園を作る、大好きは力になる、中川さんはそうおっしゃっていました。中川さん、あなたの本当に大好きなことはなんですか?」
「大好きなことが他にあって、それを守るために、自分の気持ちを殺して生徒会長をやろうとしている。無理して生徒会長の仕事をしようとしている。その姿勢が、そもそもの理想と矛盾しているんです。」(ともに第9章第9話)
これは「栞子の視点に立てば」、本当に正しいことを言っています。
そもそも栞子は、自分が生徒会長になることは、自分にとっても学園と生徒にとっても有益であると信じています。そのために約半年をかけて調査を行い、「これまでの中川菜々は生徒会長として不適である」と判断した。
また、再選挙の対立候補である自分に張り合うかのように公約を打ち出した菜々に対しては、理想を認めつつ「自分を犠牲にするのは中川菜々の姿勢とは矛盾する」と判断した。
菜々は以前、生徒会長職についてこう語っていました。
「やり甲斐はすごく感じますし、小さなころからやっていたことですから、もう自分の生き方の一つだなって思っています」(せつ菜、第9章第3話)
「昨日、先生にお願いして下校時刻を過ぎても残ることができたので」(菜々)
「せつ菜さん、次のライブに向けて随分特訓していたから、きっと疲れが溜まっちゃってたんですね」(しずく。ともにせつ菜キズナエピソード第5話)
どちらの姿も、本当の彼女であることに間違いはない。それは部長たる“わたし”がよく知っています。
でも、栞子が自分のレベルで生徒会長を考えたとき、菜々は
・スクールアイドルと両立すると、要求されるレベルにはない。
・生徒会長に集中すると、自己犠牲を行う。その姿は彼女の在り方に反する。
と考えたんですね。
第9章第8話まで、栞子は菜々を簡単な相手だと考えていました。自分と同じレベルの生徒会長にはなれないと考えていたからです。
生徒会室で菜々の公約を見たとき、栞子はひと目で、公約が菜々の犠牲の上に成り立つと看破しました。「大好きなことが他にあって、それを守るために、自分の気持ちを殺して生徒会長をやろうとしている。」というのはこれまでの中川会長ではなく、この選挙に向き合う姿のことを言っています。
まあ、同好会の視点では「誰がそれを奪おうとしているんだ」とか「誰が彼女に無理を強いているんだ」と問題を棚に上げて何を言うか、という感じなんですけど。
ただ、菜々の演説を聞いた同好会メンバーが(主人公を除いて)楽観ムードを漂わせていたのに……少し「みんな、せつ菜をアイドル視しすぎてない?」と違和感を感じるなか、一番菜々の姿をクリティカルに捉えていた栞子に
「あ、この子はこの子なりに、真剣に菜々のことを見ていたんだ」
と、やけに嬉しくなったのをよく覚えています。
自分の立場を大事にしながら、その上で相手のことをフラットに見ることができる。
言葉の拙さは「ああ、三年間の中の一年生らしいな」と思うこともありますが、栞子にもしっかりと魅力を感じる、そんな菜々との関係性なのでした。
一方のせつ菜も
「一体どれだけの時間と労力を費やしたのか……よほどの情熱がないとできないことです。学園と生徒のことを真剣に考えている立派な方だと思います。だから今は素直に思います。生徒会長が三船さんに変わってよかったって」
「でも!そのことと同好会廃部宣言は全然別問題ですよ!」(第10章第1話)
と語っており、互いに認める部分と認められない部分はしっかりと分けて考えることのできる間柄なんですよね。いいライバルっていう感じです。
おわりに
想像した栞子の背景が本当だったら、彼女にだって譲れないものがあるわけで。だから、菜々のことは真剣に考えたと思うんですよ。
ちょっと思い出してほしいんですが、栞子はスクールアイドル活動をすることを「無駄」と断じていました。
選挙直前には菜々の大好きが別にあることを理由に、彼女が生徒会長にふさわしくないと語っていた栞子。
でも、それって遠回しに彼女の本当の「大好き」を認めていることになる、と思うんですよね。だって……「大好きが力になる」という前提の議論で、菜々の一番の「大好き」が生徒会長をすることなら、この話は使えないわけですから。
「今の中川菜々/優木せつ菜が力を発揮できるのは、一番大好きなことをするとき。つまり、スクールアイドルである」
生徒会長になるための最後のダメ押しで栞子は(おそらく不本意なことに)、スクールアイドルの大きさを認める言い方をするしかなかったんですよね。
そういったところに、今後関係を改善するきっかけができてくれないかな……なんて、ちらちら考えたりしています。ああ、でもこれは妄想で、実際の展開は今月末以降におあずけですね。
それでは、散らかってしまいましたが、このあたりで。
虹ヶ咲の話もたくさんしていきたいですね、もちろんAqoursやμ'sもですが……とにかく、ラブライブ!を楽しんでいきたい。
こんな妙なことを考えている人もいるよって、そんなアウトプットもあるよっていう記事を、もっと書いていきたいですね。
ぶろっく
*1:アプリゲーム「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS」のこと。
*2:生徒のプライバシーに関しては、突っ込んではいけないのでしょう……。
*3:ちょっとだけ後ろに引いているの、分かりますかね?
*4:にこの側でも、第10章の時点では栞子のことを知りませんでしたしね。
*5:ローマ字ではなく、モーラの子音と母音を分解して並べる。
*6:第8章第1話より
*7:よほど、A-RISEのように「芸能のプロの道に進む」という選択をとらない限りは。ただし、そのA-RISEもまだプロのグループとして活動することにはなっていないはずです。
*8:「それがどんなに素晴らしいことか」というのは進路・将来の問題の解決にはならないため、やはり栞子の意思を覆す理由にはならないわけですね。
*9:学力不足か、あるいは特記事項の記載がない。時期的には「それによって大学の推薦をとれなかった」なども考えられますね。