今日も主食はカロリーブロック

ラブライブ!やラブライブ!サンシャイン!!に関することを、時折思いつきで書いていこうと思います。

スーパースター!! 第6話「夢見ていた」のこと。

はじめに

 こんにちは、ぶろっくです。

 第6話。ちょうどクールの半分というところですが、今年の夏を締め括るにふさわしい回でしたね。*1

 何かを頑張ること。

 何かに突き動かされること。

 何が彼女たちをそこまでさせるのでしょうか。

 

「すごく力が湧くって」

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「想像していたんです。自分たちがもしそうだったら、どんな気持ちなんだろうなって」

 かのんにとって、スクールアイドルは今のところ「歌が好きで、そんな自分を信じてくれた可可が誘ってくれた」というもの。

 学校の顔としてだとか、地域のためだとか、そういったきっかけはありません。

 もちろん、スクールアイドルみんなが学校や地域のために活動しているわけではありません*2が、かのんはいわば消極的・消去法的なきっかけと理由でスクールアイドルをしています。

 もちろんそれを選択したのはかのん自身なのですが、かなり成り行きに近い、と私は思っています。

 とはいえ彼女が「これだ」と直感するに足る何かはあるはずで、千砂都のみならずかのんにとっても、その「これだ(った)」を再認識する第6話だったのではないでしょうか。

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「かのんちゃんの歌みたいに、大好きで夢中になれるもの、わたしも持てるように、がんばる!」

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「私ね、あのとき、本当に感激したの。全身が震えた、なんて格好いいんだろうって」

 今まで大事な場面で歌えなくて、それでも諦めずに続けてきた理由。

 それは、この時の千砂都の決意を知っているから。

 千砂都の姿を格好いいと思った。負けたくないと思った。

 そして、自分の歌が千砂都を……本当は強くて、けれどそれを表に出せなかった彼女を、こうして奮い立たせる力を持っていることを知っているから。

 だから、高校に入るまでの長い間、どんなに諦めそうでも、歌を好きであり続けた。嫌な思いをしても、好きな歌を嫌いになんてなれなかった。

 夢は、歌で、みんなを笑顔にすること。

 その源泉が、ここで垣間見えた気がします。

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「なんかね、私、いろんな人の力なりたいって、みんなのために歌いたいって思ってて」

「うん」

 この千砂都の「うん」は、お互いにそうであるからこそ、再確認するような、そんな自然な「うん」に感じますね。

 

「ここでダンスを続けてたって意味ない」

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 千砂都がスクールアイドルに加入しない理由。

 前回まででその理由は「ダンスで結果を残すことが今は一番大事だから」だと語られていました。

 ではなぜ、千砂都はダンスで結果を残したかったのか。

 かのんから見た千砂都は、かのんが歌を好きであるのと同じくらいダンスが好き。だから、結果を出せそうな状況の千砂都を積極的に勧誘できない。

「かのんちゃんのできないことを、できるようになる」

 今のかのんができていないことは、まさに千砂都が叶えようとしていました。*3

 その姿をずっと見てきたかのんは、千砂都には大会に集中してほしい。

 かのんにとっては、千砂都はずっと格好よくて、自慢の幼馴染なんですね。

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「ダンスで結果を出して、かのんちゃんの力になれるって、自分で思えるまでは(スクールアイドルに入らない)」

 一方の千砂都も、かのんに対して自分より前を走っているように感じていたようです。

 隣に並ぶことのできる自分になるまでは、一緒にやらない。

 それはきっと、「かのんちゃんの力を借りて成し遂げても、それは私じゃなくてかのんちゃんがすごくて、勇気をもらえたから」っていう考えがあるのだと思います。それでは、彼女は自信を持てない。

 そんななか、かのんがスクールアイドルを始めます。かのんの歌と千砂都のダンスが合わされば、もちろん素敵なものになると互いが考えたでしょう。

 けれど、もし最初からスクールアイドルを始めていたら、千砂都は自信を持てないまま、「かのんちゃんがすごいから自分は踊れている」となり続けていたかもしれませんね。

 何によ、千砂都が自信をつける過程では、ダンスでまず結果を出す必要があったわけですね。

 ダンスに関しても専門でやってきた子が集まる結ヶ丘。その代表になっても結果が残せないようであれば、別の方法で自信をつけるしかない。そのための手段が「退学して海外で修行する」でした。*4

 

「私もちぃちゃんのこと、見習わなきゃって」

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 この「息を飲むシーン」で、なぜ彼女は息を飲んだのか。

 そういうところから、千砂都が本当に探していたものの正体って見えてくると思うんですよね。

 千砂都はかのんの歌の上手さだけではなくて、その心の強さに憧れていたところがありそう。だからこそ「ひとりで」っていう部分に拘っていたわけですからね。

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 こういうところの印象が強いのだと思います。

 これは私見ですが、「一緒にやるのはやめよう」と思っていた千砂都も、実は高校に上がってすぐの頃、かのんが舞台に上がれるように、何かに誘おうと思っていたのかなって思うんですよね。*5

 そうすることで、「自分はかのんの役に立てる」と思ったから。ちょうど、このシーンの反対の立場のように。

 けれど、かのんは自分で(正しくは可可と出会ったことで、自分の力で)また歌い始めた。

 やっぱり、かのんちゃんは強い。自分も追いつかなきゃ。そんな心情だったのでは。

 

 かのんは、確かに強いのでしょう。気が強い、みたいな話として。

 とはいえ、彼女が決して挫けないとか、一人でも大丈夫かというと、全くそんなことはないんですよね。むしろ、一人でいると諦めてしまいそうになるタイプ。

 千砂都がそう思っていなかったとしたら、かのんが必ず立ち上がると信じていたなら、それは千砂都の前にいるかのんしか知らないからです。

 千砂都がいたから、かのんは何度も立ち上がってきた。でも千砂都からは自分のことが見えないので、かのんが一人でも強いように見えているのでしょう。

 千砂都が憧れていた強さの半分は、もともと千砂都のものなんですよね。

 そのことに気づいたとき、本当に求めていたのは「ひとりでも平気な強さ」ではなくて、「かのんと一緒に、なりたい自分を叶えること」だったということにも気づきます。*6

 そういったことに一気に気づくのが、先程の息を呑んだシーンですね。

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探していたもの、近くにありがち。

 

葉月さんの話。

 恋は、どんどん良い人みが増してきましたね。

 スクールアイドルというものには複雑な思いがありますが、かのんや可可のことは憎からず感じている様子。

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 そして千砂都に対して。

 恋は音楽科の千砂都に対しては「自分のダンスに集中してほしい」と考えていそうなものですが、意外にもスクールアイドルと別行動をとっていることを心配しているようです。

 もしかしたら、それだけ千砂都のことを買っているということかもしれませんね。スクールアイドルの練習を見ながらでも結ヶ丘の代表になるだけの実力と人格を併せ持っているわけですし。

 恋は謙虚ではあっても自分の能力には一定の自信があるはずで、その彼女が「嵐さんのダンスには敵いませんよ」といっているのは、いい関係だなあと思いますね。

 千砂都は千砂都で、恋のことを一個人としてフラットに見ている節がありますし、そういう相手は恋にとって貴重なのかもしれませんね。*7

 

 恋は自分が何を是とするかという基準を母親の価値観に頼っているような印象を受けますが、そういった思考のアップデートという観点では、千砂都とかのんの関係は恋にとってある種のヒントになるかもしれませんね。

 恋にとって気の置けない友人がどのくらいいるのかは分かりませんが、結ヶ丘のためになる人材であり*8、自分の最も大切なものの話をしてくれるような友人が、どのように転んでも音楽科から去ろうとしている。

 これって、恋にとっては「音楽を大切にしている結ヶ丘の価値が下がる」ということに他ならないんですよね。

 千砂都が結果を出せなければ、学校代表になってもその程度のレベルの学校として認知される。結果を出しても、その生徒は自発的に、音楽科を経験した上で普通科を選択する。

 音楽科の存在意義やいかに、というところで、恋の悩みは尽きなそうですよ。

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 そんなことはお構いなしの、いい表情なんですわ。

 

おまけ。

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 ここ好き。

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 千砂都の好きなとこっていうと、ダンスもそうなんですけど、やっぱり表情の表現力ですね。

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「これが“四人の”力……!」

 当事者視点では「四人になった彼女たちすごい」なんですけど、我々視点では「まだ変身を一段階残しています」に聞こえるの、これ上手いなあと思いますね。読み方がね。

 

終わりに

 正直書くこと特にないなーって思う回だったんですけど(作中でみんな語られとるやないかい!っていう)、息を呑んだ瞬間に千砂都の脳裏を駆け巡ったものの正体とか、恋にとっては千砂都がどうあれ音楽科からいなくなることって結構重大事件なのではないかとか、案外色々ありました。書いてみたらね。

 折り返して第7話、いよいよ葉月家の話題になるのでしょうか。また2話構成とかでじっくりやってほしい気持ち、ありけり。

 

ぶろっく

 

アニメ画像の出典:記載の無い場合、すべてラブライブ! スーパースター!! 第6話(©2021 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!)より

*1:何も考えずに適当なこと言いましたが、実際いい回ではありました。

*2:μ’sAqoursは学校・地域のために活動している面が強いですが、例えばSaint Snowや虹ヶ咲はどちらかといえば「自分たちの目指すもの」先に来ている印象が強い。もっといえば、Aqoursだって個々の持っているものは「輝きたい!」というような個人由来の感情が原点だったりしますしね。

*3:つまり、都大会で優勝すること。第3話の時点でかのんはスクールアイドルとして一定の評価を得ていますが、昨年の都代表、つまり都で一番成績の高いSunny Passionに、順位の上では敗れています。

*4:もっとも、その方法で千砂都が自分に自信を持てるようになるかと言われると、微妙なところですが……。

*5:というのは、かのん宅にて千砂都は「他の部活動に所属して、軌道に乗ってきたらスクールアイドルを始める」という提案をしているんですよね。例えばその活動が、自分がこれからなんらかの部活を作ろうとしている、というような話であったら……?

*6:これは考えを改めといってもいいですね。視点がクリアになったというか、もともと考えていたものの正体が実は全く別のものだったことを受け入れた、というか。

*7:音楽科の生徒、全体的に恋のことを「優れた人物」として認識していますが、千砂都は恋のことを「特徴的な子」くらいに思っていそう。

*8:一年生・推定部活無所属にして都大会優勝