今日も主食はカロリーブロック

ラブライブ!やラブライブ!サンシャイン!!に関することを、時折思いつきで書いていこうと思います。

アニガサキ第3話「大好きを叫ぶ」のこと。

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菜々「私がなりたい自分は、“こんなの”じゃなかった」

 

はじめに

 こんにちは、ぶろっくです。

 いっときは9番目に迎えると思われてた(私はそう思っていた)、せつ菜回でした。

 せつ菜の葛藤。気付き。大好きの気持ち。第1話から丁寧に描かれてきたそれらが、ひとつの区切りを見せた第3話について、思ったことを残しておきます。

 

 

 3人の気持ち、かすみの気持ち

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菜々「もし皆さんがまだ、スクールアイドルを続けるなら。ラブライブ!を目指すつもりなら。……皆さんだけで続けてください」

 神出鬼没の、謎のスクールアイドル。

 生徒名簿に名前のない「優木せつ菜」は、生徒会長・中川菜々と同一人物だった。

 彼女に拒絶された同好会メンバーにとって、せつ菜との時間はどういったものだったのでしょう。

 

“それは嫌だよ!”

 優木せつ菜がいなくても、同好会はまた始められる。

 果林の「一番の目的は、もう果たしているように見える」という言葉に反して、メンバーはせつ菜不在のまま再始動とは考えていなかったようで。

 

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エマ「活動休止になったのは、私たちの力不足もあるから……」

 上級生で、みんなの意見を受け止めることのできるポジションにいたエマ。

 菜々が今の同好会メンバーを指して「エマさんたち」と呼んでいたこと等からも、彼女がサブリーダーのようなポジションにいたように思えます。*1

 そんなエマの言う「力不足」は、必ずしもパフォーマンスのレベルや気持ちの入りようだけではなさそうでした。

 

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彼方 「彼方ちゃんたち、お姉さんなのに、みんなを引っ張ってあげられなかった」

 エマの言葉を補足するように、彼方が続きます。

 実は二人とも家族内ではお姉さんなのですが*2、自分たちのきょうだいとは違う関係に苦戦していたのかもしれません。

 そして正面から話そうとしたときには、せつ菜は姿を消してしまっていた。

 

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しずく「せつ菜さん抜きなんて有り得ません!」

 それでもしずくにとって、せつ菜は「同じ目標に向かう仲間」であり続けた。

 演劇部というもうひとつの居場所を持っていても、そちらに専念するという選択肢を提示されても、せつ菜とともにスクールアイドルをするという気持ちは変わらなかった。

 思えば、しずくは前回もかすみに「せつ菜さんには相談した?」と確認をとっていました。

 

 今までの同好会として積み上げて来た時間。優木せつ菜の人柄と、その熱意と、パフォーマンスを間近で見てきた彼女たちだからこそ、ここで即答できたのだと思います。

侑「せつ菜ちゃん、辞めてもいいんですか?」

3人「それは嫌だよ!」 

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“……ダメなんだと思うんです”

 か、かすみが仲間外れになっていなくてよかった〜!

(以下、前回のブログより)

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k-block.hatenablog.com

 下に関しても、当たらずも遠からず、といったところでしたね。

 いやでも、本当に良かった。

 

 

 せつ菜先輩がいけない、と断言していたかすみ。

 けれど、スクールアイドルとしての後輩をきっかけに、気づいた気持ちがあった。

 今ならぶつかりながらでも、みんなの「やりたいこと」を、見たこともない世界に導けるかもしれない。そんな景色を見たい。

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かすみ「それを見つけるには、かすみんと全然違うせつ菜先輩がいてくれないと、ダメなんだと思うんです」

 

 うまく言葉にできない。「気がする」「はず」ばっかりで、まだ先の見えない道のり。

 でも今はせつ菜と一緒にスクールアイドルをやりたい、という気持ちは本物。新しい輝きを見せたかすみのことを、3人とも心底頼もしく思ったことでしょう。

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 見ていないところで成長していた後輩の姿に喜ぶ彼方。彼女なりに、かすみのことも本気で心配していたことが窺えるシーンです。

 

せつ菜と“大好き”の気持ち

大切な“大好き”

「大好きを叫びたかった私が、他の人の大好きを傷つけた」

 そのことが、せつ菜をスクールアイドルから遠ざける原因となりました。

 アニメでは今回分かったことですが、自分だけでなく誰かの“大好き”の気持ちのことも、せつ菜は大切に思っています。

 

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菜々「その子は天王寺さんのことが、大好きみたいですね。」

 愛と璃奈が、こっそりと飼っていた捨て猫の「はんぺん」。

 追い詰められて気が立っていたはずのはんぺんが安心する姿を見て、一計を案じます。

 飼うことは、校則で禁止されている。

 けれど、学校の一員に迎え入れることは校則違反にはならない。

 

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愛「屁理屈だけど、いい屁理屈だよね」

 どう考えても、「作った人、そこまで考えてないと思うよ」案件。本来の意図は「学校に、教育上の目的を持って飼育されている以外の動物を住み着かせてはならない」みたいな話だと思うんですよ。アルパカとかね。知らんけど。

 

 別に、校内で里親を探すのでも、なんでもいいはずなんです。本来は菜々にとって、その猫が無事に生きていけさえすれば。

 でも、はんぺんと璃奈が離れずに済む方法を選んだ。はんぺんが璃奈のことを大好きだと思ったから、その大好きを守った*3

 

「正しさに奪われる“大好き”は、本質を見て屁理屈で守りきる」

 

 中盤に示したこのアプローチが、後にせつ菜の重要な選択を導くことになります。

 

“大好き”の優先順位

 せつ菜は、スクールアイドルが好き。

 パフォーマンスすることが好き。熱い気持ちを伝えることが好き。

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菜々「全国のアイドルグループとの競争に、勝ち抜こうとしていました」

 

ラブライブ!を目指すこと」はせつ菜にとって、やっと叶ったワガママでした。

 推測ですが、ラブライブ!に個人で出場しても、いい成績を収めることはできないのでしょう。でなければ、「グループとの競争」という言い方は不適切です。

 少なくともせつ菜にとって、グループであることは絶対。それが、彼女の好きになったスクールアイドルの姿だったから。

 そして、ラブライブ!に出場することもそう。どのグループもラブライブ!を目指していた。ファンもそれを望んでいたし、世間の関心も「彼女たちはラブライブ!に出てくるのか?」という点にあった。

 

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 ひとりでも、エントリーできるらしい。

 

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 ……。

 スクールアイドルは、ラブライブ!を目指すもの。

 ラブライブ!を勝ち抜くなら、グループでなくてはいけない。それも、一つにまとまるようなグループに。*4

 けれどせつ菜の志向するそれは、仲間の“大好き”を傷つけてしまう。

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菜々「私がここにいたら、みんなのためにならないんです!」

 みんなのため。

 

 自分のワガママのために始めたグループ活動。

 いつからか、自分の求めるスクールアイドルの“大好き”と同じくらい、あるいはそれ以上に、せつ菜はみんなのことが“大好き”になっていたのだと思う。

 ここをせつ菜が淡々と語っているのなら、「それがスクールアイドルとして正しい選択だから」で身を引いていたのか、と感じたことでしょう。

 けれど、そうじゃない。

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菜々「私がいたら! ラブライブ!に出られないんですよ!!」

 みんなそれぞれに“大好き”を持っていて、せつ菜にとっても“大好き”な仲間たち。彼女たちが“大好き”を目指せないことは、自分のワガママを言えないことよりも耐えられないことでした。*5そして、誰かからラブライブ!(大好き)を奪うことも、もう出来ない。

 

 けれど侑も同好会のメンバーも、そうやって優先順位を決めてしまったせつ菜に、同好会に戻ってきてほしい。そのために必要なことは──。

 

大好きを叫ぶ

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 そんな取捨選択の中で、出会ったのは「せつ菜ファン」の侑でした。
 彼女は、かすみたちと共に同好会を始めると言います。それも、せつ菜のあのライブに影響されて。

 

「大事な気持ち まるで裏切るように過ごした

昨日にはもうバイバイして」

 アニメで歌うこの曲は、まるで5人の同好会に対して、部長のせつ菜がどう感じていたかを歌うような曲に聞こえてきます。

 ……せつ菜も、他のメンバーが同好会を大切に思ってきたことに、気づいているのかもしれない。それを「裏切るように」、ここに立っている……?

「思いは嘘じゃないよ」

「夢はいつか ほら輝きだすんだ!」

 せつ菜が下した「休止」という決断。きっと涙をこぼしていたせつ菜だから、そこには葛藤があって、本当はみんなが輝ける未来を望んでいたんじゃないか。あの曲、あのパフォーマンスは、せつ菜から見えない誰かへのSOSだったのではないか。

k-block.hatenablog.com

 せつ菜の何かを受け取った人が、かすみたちと一緒に活動をして、ラブライブ!を目指すのなら、本望ではないか。これでいよいよ、いい幕引きと呼べそうでした。

 けれど、侑はせつ菜と活動したいという。

 

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「大好きなんだ」

 

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「言ったでしょ。大好きだ、って」

 

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 大好きな人の幸せを、本気で願った侑。

 まるで、あの日同好会を休止したせつ菜の気持ちが、重なって見えるようです。

 

 それでも。そんなファンがいるからといって、せつ菜はグループに戻るべきではない

 むしろ、今後侑の“大好き”がエマやかすみたちによって叶えられていくのなら、なおさら自分がそこにいるわけにはいかないはずでした。

 

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侑「だったら。だったらラブライブ!なんて出なくていい!」

 ところが侑は、スクールアイドルとそのファンなら誰もが夢見る舞台、ラブライブ!を「なんて」と言い放ちます。*6

侑にとって“大好き”の本質は「楽しいこと」「トキメクこと」。ラブライブ!はすごいトキメキの集まる場所かもしれないけれど、その根幹にあるのは

侑「スクールアイドルがいて、ファンがいる」

ということです。

 これは侑のワガママかもしれない。ラブライブ!はせつ菜にとっても夢の舞台で、そこにかける想いがあったことは、嘘にはならない。

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侑「こんなに好きにさせたのは、せつ菜ちゃんだよ?」

 けれど、ラブライブ!への思い、ワガママの根幹にあったものは、目の前の少女が語るような“大好き”の気持ちだったはずです。 

 

「正しさに奪われる“大好き”は、本質を見て屁理屈で守りきる」

 

 はんぺんと璃奈を守ったこの考え方が、今度はスクールアイドルとしてのせつ菜を呼び戻すことになりました。

 同好会に戻ったら、変えられないもの、変えなくてはならないものを選びながら、再び何度も悩むことになるかもしれない。それでも。

 

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 彼女が本当の望みを追いかけることを、幸せを願ってくれる人がいる。

 自分の“大好き”なスクールアイドル像も、“大好き”なみんなのことも、みんなみんな輝かせられる高みへ行けたなら。

 きっと、それがせつ菜の野望。大好きの溢れる世界。

 その幕は、こうして再び上がるのでした。

 

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 せつ菜のライブで、世界の色が変わり始めた人がいる。

  

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 せつ菜の輝きは、彼女だけのものでいい。その方がいい。

 自分だけの輝きをみんなで集める、そういう形があってもいい。

 

 自分の気持ちの在り方に迷いながら、高く飛ぶために踏み込んでいた。

 そんな曲を歌い終えた彼女は、すっかり「優木せつ菜」でした。

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終わりに

 アニガサキのストーリー、各話で見ても1~3話で見ても、すっごく綺麗なんですよね。

 せつ菜視点がやっとスッキリしたのと、やっぱり「冒頭に提示される課題→中盤の問題を解決したことによる気付き→冒頭の問題をその気付きの助けによって解決する」という流れ。

 今回の記事は「せつ菜はどの“大好き”を取るのか」「『ラブライブ!』はせつ菜ののぞみの本質なのか」ということを考えながら書いていました。伝わるものがあるかなあ、ちょっとふわっとした感じでしたね。

 

 次回以降、物語は全く読めませんが……

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 どこを切り取ってもエマが重要人物なの、ちょっと面白いですよね。

 せつ菜は同好会メンバーを必ず「エマさんたち」と呼んでいましたし、果林と友好的につながっているのがはっきりしているのもエマだけですし、さらに次回予告にもお当番回(と思われる)愛とツーショットです。彼女のお姉さんっぷりに注目しつつ、次回の放送を楽しみにしています。

 それでは、またお会いしましょう。

 

 

ぶろっく

 

 

 

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「勇気に染まる Colors」

 そんな、カラフルな「ひとつの色」に染まる日が、きっと来るはず。

 

アニメ画像の出典:すべてラブライブ! 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 第3話(©2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会)より

*1:生徒会に真相を確かめに来た果林は同好会メンバーではないため、彼女とつながりのあったエマを中心にして呼んでいる可能性もある。ただ、下級生のかすみとしずく、寝坊で怒られがちであった彼方と比べると、エマがせつ菜に次いでメンバーをまとめられる立場にいたことは想像に難くない。

*2:アニメではまだ触れられていないが、エマはスイスに下のきょうだいがたくさんいるし、彼方は「遥」という妹を溺愛している。

*3:ちなみに学習指導要領を読めば、恐らくはんぺんの一件に教育的な目的を付与することも容易である。

*4:せつ菜は「メンバーがひとつの色にまとまること」と語った。少なくともシリーズ作中で優勝経験のあるA-RISE, μ's, Aqoursはどれも、グループとしてひとつのうねりではあっても、メンバーのパフォーマンスが同じ方向性であったわけではない。せつ菜にとっての特別なスクールアイドルがそういった特徴を持っていたか、せつ菜の解釈が未熟であるか、ということが考えられる。とはいえ、その結果とんでもないパフォーマンス力を持つに至っているので、いちファンとしてはありがたい限りでもある。

*5:シンプルな天秤に例えられるものではないとしても、

仲間の“大好き”+せつ菜の“大好き” >せつ菜の“大好き”

という風に見るとイメージしやすいか。

*6:10/22追記:これも、言ってみれば「せつ菜の“大好き”を傷つける」ような言い方ですよね。そういった言葉だったからこそ、その上で激しくも優しい言葉だからこそ、せつ菜が「自分はワガママを言ってもいいのか」を問い直させたのかもしれませんね。