はじめに
お久しぶりです、ぶろっくです。
毎月2回くらいはブログを書きたいと年始には考えていたのですが、気づけば筆不精に。
……まあ、きっと夏頃にはまた毎週書くことになろうと思いますが(笑)
3rd Live! School Idol Festival ~夢の始まり~
ついに、今週末に迫っています。
状況は予断を許さず、色々な可能性がある中ですが*1。
アニメを毎週試聴し、面白いこと、腑に落ちないこと、色々を考えながらブログにしてきました。
私の場合はですが、アニガサキはすんなりと腑に落ちないところがすごく沢山あって。
だからこそ、毎週彼女たちの視点をじっくり考え、納得し、素敵な物語だと感じるようになっていった過程がすごく楽しかったです*2。
そんなアニガサキの中で、最初にして最大の衝撃。
つまり第1話挿入歌“CHASE!”*3の話をしていきたいと思います。
歌詞
走り出した!思いは強くするよ
悩んだら君の手を握ろう
この歌詞、冷静に考えるとよく分からないですね。
・(誰かが)走ったことによって、思いが強くなる。
・思いが走ったことによって、(誰かが)強くなる。
みたいに、いくつも意味をとることができる。
思いが走った(進んだ)のか、私が走ったのか、他の何かが走り出したのか。
思いを強くするのか、思いが強くするのか。
個人的には光の描写に、どことなくSaint Snowの“Believe again”を想像しました。
そのあたり、アニメ第1話時点のせつ菜が歌う歌詞としてはどのように考えたら良いのか、考えながら歌詞を読んでみます。
大事な気持ち まるで裏切るように過ごした
昨日にはもうバイバイして
旧同好会*4 において、せつ菜が裏切ってきたものは大きく二つです。
・他のメンバーが、活動をする上で大切にしたいもの
第2話におけるかすみとの関係が最もわかりやすい。
せつ菜の志向するグループ像・パフォーマンスは、他のメンバーとかなり大きく隔たっていました。*5そんな中でせつ菜は内容・レベルに関して、自分の物差しを押し付けてしまった。
・他のメンバーを大切に思うせつ菜自身
第3話においてせつ菜が同好会復帰を拒否していた背景は、この点にあると考えています。
「仲間達と一丸となってラブライブ!を目指したい」と考えていたせつ菜にとって、ワガママを言うことは「仲間を蔑ろにすること」なんですよね。
だから旧同好会で過ごした時間は、この時のせつ菜にとっては「知らず知らずのうちに自分の理想を裏切り続けていた日々」なのではないかな、と思います。
そんな日々にバイバイして、自分は元通りの中川菜々として。
他のメンバーが活動を再開するのならそれを見守ろう。
そう考えていたのでしょう。
繰り返した リスクと後悔
言い訳ばかり探して決めつけた
振り回すのはやめて
少し遡り、旧同好会の日々での内面を思い描いているのでしょうか。
もともとソロのスクールアイドルとして注目を集めていたせつ菜。彼女にとってグループ活動を始めるというのは、そもそも大きな挑戦であったと思います。
グループが一つの色にまとまらなければならない。そう考えていたせつ菜にとっては、情熱があっても、条件を満たさないメンバーの加入はリスクでした。
活動をする後悔も、しない(やめる)後悔も、結成前から解散後にかけてずっと、せつ菜の頭の中にはあったのだと思います。優木せつ菜としての熱いステージを体感してしまっているだけに、その形が誰かに変えられてしまう怖さもあったかもしれませんね。
特にかすみに対して強く当たってしまっていたのは、そうした恐れの結果なのかもしれません。ましてやパフォーマンス力や訴える力にかけては、この段階でせつ菜の要求する水準から最も遠かったのはかすみなのだろうと想像もつきます。*6
せつ菜にとって、グループの方向性を乱すのはかすみだったのかもしれません。
けれど、かすみとの衝突をきっかけにせつ菜は「グループを振り回していたのは、かすみではなく自分だったのではないか?」と考えるようになります。
振り回すのはやめてほしいと思っていたけれど、実際には自分が原因だったのでやめます、ということ。
足を踏み出す 最初はこわいかも
でも「進みたい」その心があれば!
その結果、お披露目ライブは中止。
そのケジメでやったステージがこの曲であり、自分の最後の曲にするかわりに、誰かにとっての始まりの曲になればというワガママがこもっていました。*7
アニメ外での曲としては*8中川菜々の手を優木せつ菜が引くような意味も強い歌詞なのですが、この場面ではエールのような印象が強いですね。
特に旧同好会の仲間への願望という視点では、スクールアイドルとしての景色が素敵であることを知っているせつ菜だからこそ、まだステージに立ったことがない彼女たちに知ってほしいというような歌詞ですね。
走り出した!思いは強くするよ
悩んだら君の手を握ろう
ここまでで「旧同好会の仲間へ向けた曲」(というか、第3話までを念頭におくと「せつ菜とかすみ」という関係性ですね。)という側面を可能性として提示してきたので、その線でこの歌詞を読んでみます。
二人の間柄は学年もスクールアイドルとしても「先輩と後輩」であり、このライブ時点でのせつ菜はかすみに成長してほしい、スクールアイドルとして諦めて欲しくないという思いを持っていることが示唆されています。
とすると、冒頭のこの部分は
・「走り出した」のはかすみのスクールアイドルとしての時間が始まったということ。
・かすみのスクールアイドルへの「思い」がかすみを「強くする」ということ。
・かすみが悩んだ時*9にも自分の強い気持ちを思い返してほしい。これが「君(かすみ自身)の手を握ろう」
という、背中を押すような気持ちだったのではないかと思います。
とはいえ、そのライブにかすみは姿を見せていなくて。
でも、そのライブに影響を受けた侑と歩夢がかすみと同好会を再開させたのだから、人の縁というのは不思議なものですね。
なりたい自分を我慢しないでいいよ
夢はいつか ほら輝きだすんだ!
ここからはFULLサイズとは異なり、最終サビに突入する歌い方に変化します。
先程までの歌詞と連動してかすみとの歌詞として考えるなら、これまで自分が強いてきた在り方ではなく、あなたのなりたい自分で輝いてほしいという願い。
弾み出した!思いは嘘じゃないよ
涙から生まれる希望も
で、ここがシャウトのパートになるわけなのですが、FULLサイズ版と異なるのはシャウトの方が表に出ているような形になっているのですよね。
これはライブパフォーマンスで楠木ともりさんがせつ菜として行うパフォーマンスを侑*10が観た景色とリンクさせる役割を担っているのですが、あえて「アニメでは歌詞にシャウトを被せた」という見方をすれば「ここの歌詞を叫びによって覆い隠した」とも取れるんです。
つまり、ここまでかすみに対するエールが歌詞の中に込められていたけれど、それはせつ菜自身の在り方と引き換えに得られるもので、それを割り切れない、諦めきれないという叫びだったのではないか、と思うのです。
夢は輝き出すというけれど、その景色を夢見た結果自分のように諦めなければならなくなるという、ある種の二枚舌になっている自分への葛藤を感じます。
目には見えない力で繋がる
夢はいつか ほら輝きだすんだ!
とはいえ、せつ菜がスクールアイドルを大好きであるという事実は変わりません。
そして先述の通り見えない力*11、つまり侑と歩夢のような、現状を打破してくれる何かを無意識に求めていて、その結果として自分も他の仲間もみんなが輝ける、そんなスクールアイドル同好会を夢見ていたのではないかな、と想像しています。
まとめ・終わりに
そもそものTOKIMEKI Runnersに収録されていた“CHASE!”は優木せつ菜と中川菜々、優木せつ菜とあなた、といった関係性の中で想像するのが楽しい歌詞なのですが、アニガサキで披露されたこの曲は、その背景と相まって全く違った前提のもと歌詞を読むことができます。
来る3rdライブで披露されるのかどうかは未知数ですが、アニメの中で極めて重要な役割を担った曲ですので、もしも披露されるのであれば、作中第1話におけるせつ菜の心情に可能な限り寄り添いながら、彼女のパフォーマンスから何かを感じ取りたいところです。
無事に開催されたなら、様々なことに配慮は当然しつつ、一人ひとりのスクールアイドルの物語、心情に思いを馳せながらパフォーマンスを受け止めたいですね。
ぶろっく
*1:一概に「何がなんでも開催が正義」と言えないところが難しいですよね。関わっている人からしたら、どの立場にせよ開催されてほしいのは間違いないかと思いますが。
*2:それゆえ、Twitterのタイムラインが感動しているところからいつもテンポが遅れてエモエモ言い出す私。
*3:歌:優木せつ菜(CV:楠木ともり) 作詞・作曲:鈴木エレカ、JOE 編曲:tasuku
*4:「優木せつ菜、エマ・ヴェルデ、近江彼方、桜坂しずく、中須かすみ」の5名で構成された、グループ活動を前提としていた頃の同好会のこと。
*5:「観てくれた人の気持ちを肯定したい/心を動かしたい」というせつ菜の志向は、それ自体が全員と隔たっていたわけではありません。むしろ目的のバラバラなメンバーの中間地点と言ってもいいように思えますが、如何せんそのための手段やアプローチがバラバラすぎました。熱さによって達成しようというメンバーは誰ひとりいなかった、というのが最大の問題だったのかもしれませんね。
*6:しずくやエマは体力もありますが、個人的に気になっていたのは彼方とせつ菜の関係性です。描かれている範囲ではどの媒体でも互いを尊敬しあっている二人ですが、アニメ第1話で彼方が呟いたのを見るに、どうやら彼方に対してもせつ菜は怒ってはいたようですね。それが生活についてなのかパフォーマンスについてなのかは不明ですが、なんにせよせつ菜式スクールアイドルを続けていたら彼方の体力が保たないのは容易に想像できます。
*7:侑に音楽室で指摘されたのは「せつ菜にとっても始まりになればよかったのに」という内容だったと考えているので、ニュアンスが少し異なりますね。
*8:あるいはアニメ内でも、元々製作した時点では
*9:つまり、スクールアイドル同好会が廃部となる現状
*10:そして、実際に生で虹ヶ咲のライブを体感した我々ファン
*11:これは、同シリーズの「ラブライブ!サンシャイン!!」のことを念頭に置くと非常に興味深い概念でもありますね。