アニガサキ2期第6話「“大好き”の選択を」のこと。
はじめに
せつ菜の百面相、結構好き。
あと、エマの「むふん」っていう口可愛くないですか?
スクールアイドル・優木せつ菜
生徒会長とスクールアイドル。
「どちらも大好きでやりたい私としては、このままの方がいいと思うんです」
それはミステリアスな魅力という意味であったり、彼女の家庭の事情であったり。
ファンとして好いてくれている人に対して、この生徒会長としての自分を重ねられるのは違う、と思っているのでしょう。
それは良くも悪くも、彼女自身の決めた「優木せつ菜ってこういう人物」っていう枠の中で、という話。
だからこっちは、今までせつ菜が自発的に正体を隠していた理由。
なぜせつ菜が正体を隠さなければならなかったのか。
ついに名言はされませんでしたが(今後されるのかな?)、その答えは彼女の家庭にあります。
スクールアイドルフェスティバル、そして文化祭のステージを見てほしい。
なぜわざわざ、家族に正体を明かす決心をしたのでしょう。
ヒントは、せつ菜のこの言葉にありました。
「二学期で会長の任期は終わりですし、スクールアイドルと生徒会の職務を一緒にやれる機会なんて、もう無いかもしれません」
生徒会長の任期が終わる。
すると何が起こるのか。ちょっと想像を膨らませてみましょう。
「来週模試でしょう? 頑張ってね」(一期第3話より。)
それほど登場回数は多くありませんが、彼女の母は娘の行事やスケジュールを、かなり気にかけています。
それはひとえに菜々への愛情であり、菜々もそのことをよくわかっている。
で、作中で一般的に、この時期のニジガク普通科生といえば、受験を視野に入れて予備校に通うようになるものだと、想像できるんですよ。
一期第1話で、スクールアイドルに興味を持つ前の歩夢と侑がそうであったように。
もちろん、学校の勉強と自宅の予習復習で大学受験を突破する人もいますが、菜々の親がそう考えているのかというと、必ずしもそうであるとは限らない。
だから、放課後にしろ休日にしろ、「生徒会で学校にいる」という名目を失うと、せつ菜は予備校に通うよう親から言われるんじゃないかと思うんですよ。
あるいは早い時間に帰宅して勉強するように、とか。他の習い事をするように、とか。
生徒会というのは、彼女の好きなことであると同時に、スクールアイドルをするための隠れ蓑でもある。
だから今回、彼女の「大好き」とは関係なく、せつ菜は「親に正体を明かすか、今後スクールアイドルとしての活動を制限するか」という二択を、密かに裏で迫られているんですよね。
と、アニメからだけだと断片的にしか分からない情報から、彼女の背景を想像しました。
スクスタだとこの辺り、結構丁寧に描写してくれていたので、既プレイだとイメージしやすい方も多かったのでは?*1
ともかく。
取材と、栞子への身バレ、そして家庭事情から、今が正体を明かすべきかを考えるターニングポイントだった。
きっかけとしては、そんなところでしょうか。
大好きを肯定するのが“私”だから
このビデオのせつ菜の言葉、全引用したいくらい好きなんですけど。
「皆さんの“大好き”な気持ち。その全部が私を助けてくれて、それを感じて、感謝する度に、もう今の私は、大好きを隠す必要はないんだって、気づくことができました。」
なぜせつ菜は、自身が生徒会長の中川菜々と同一人物だと明かすことにしたのか。
今回、せつ菜を助けてくれたのはみんなの“大好き”の気持ちでした。
みんなで作り上げてきたお祭りを、みんなで成功させる。
その「みんな」の中には、常に中心で尽力してきた生徒会長・中川菜々がいて、彼女が困った時には、誰も自分が頑張ることを、厭う人はいなかったんじゃないかな、と思う。
「優木せつ菜」の真骨頂というか、在り方というか、それって「“大好き”を伝える」っていう部分にあるんですよね。
ファンとスクールアイドルのその気持ちのやりとりに、アツくなる。
でもそれって、「スクールアイドルの時だけ、そんな自分になれる」わけではなくて。
普通の高校生として生きている中川菜々。
大好きな名前を背負っている優木せつ菜。
どちらも“大好き”を愛していて、みんなの気持ちと自分の気持ちを、叶えることに熱くなれるふたり。
視点を周囲の人に移すとわかりやすいんですけど、そんな中川菜々と優木せつ菜、スクールアイドルフェスティバルと文化祭の合同開催に、この二人が揃ったら最強じゃないですか?
で、公表。となった時、なんかこう……主人公のパワーアップイベントみたいな感じがしますよね。本来は一人の人間だったので、こう、合わさってパワーアップする、的な。*2
優木せつ菜が受け止めて、解き放ってきた“大好き”という気持ちの中に、中川菜々としての在り方を乗せてあげてもいいんじゃないか。
そんな思いが、彼女が正体を明かすきっかけとなったのかな。
もうひとつ思い当たるのは、ここ。
「私は会長が学園のためにたくさん貢献されてきたことも、せつ菜さんがスクールアイドルとして、人気を獲得していることも知っています。どちらにも適性があって、皆さんを幸せにできている。その邪魔をする理由など、ありません」
「ありがとうございます! 私、頑張ってやりきりますから……!」
今まで彼女は、ひとりの人間としてどちらも素敵だって、人に言われたことは、当然ないんですよね。
アニガサキでの話ですが、同好会のメンバーって、基本的にはせつ菜のことはせつ菜として扱っているような気がします。生徒会のことには首を突っ込まないというか。*3
だから、生徒会長のことは生徒会長として、スクールアイドルはスクールアイドルとして評価されることはあっても、栞子のように「どちらでもみんなを幸せにしていてすごい」などと言ってくれる人は、今までいなかったんじゃないでしょうか。
そこが、もしかしたら「自分が一人の人間であることを、もっと認めてあげていいんだ」と思うようになったきっかけかもしれません。
おまけ
今週の好きポイントはここです。
このシーンの歩夢の背中がめっちゃ頼もしくて好き。
ちなみに類似する感情を覚えるシーンに、「劇場版ラブライブ! The School Idol Movie」のこのシーンがあります。
背中いいぞ。
そういえば、今回の挿入歌。
オープニングっぽいな〜と思って聴いてましたが、そういえばイベントのオープニングだった。
ソロのメンバーによってギターの音色に特徴が顕著で、エフェクターボードとか踏むの楽しそうだな、とか考えてました。コンパクトエフェクターいっぱいつなげて遊びたい派の私でした。
おわりに
毎週感想では過去いちばん遅い投稿では? という気もしますが、二期で一番書くことに困らなかった週かもしれません。
せつ菜に関してはスクスタのエピソードがいちいちアツくて好きなので(あと個人的に、スクスタの生徒会長選挙編でもせつ菜を一番真っ直ぐに見て評価してくれたのが栞子だったってところも評価高い)、オススメです。
ぶろっく
*1:実際、スクスタではこの問題を解決せずに生徒会長を退任したために、せつ菜は同好会を巻き込んで、とある騒動を起こしています。詳しくはせつ菜のキズナエピソードで。
*2:楠木ともりさん繋がりで言うと、アニメ化された「魔王学院の不適合者」で楠木さんが演じたミーシャは、ある意味「中川菜々に対しての優木せつ菜」といえなくもない性質を持っていて、そんな感じのパワーアップを果たすシーンがあります。思い出して少し胸熱になっておりました。
*3:もちろん、それが同好会メンバーが菜々のことを評価していないことにはなりませんが。でも、彼女が生徒会長としていかに貢献してきたかを正しく評価できるメンバーは、アニガサキでの同好会にはいないはずです。スクスタの場合は、彼女の生徒会の仕事を同好会メンバーがかなり手伝っている描写もあるので、また事情が異なってきますが……。