今日も主食はカロリーブロック

ラブライブ!やラブライブ!サンシャイン!!に関することを、時折思いつきで書いていこうと思います。

近江家にとっての「夢がここからはじまるよ」のこと。

はじめに

 こんにちは、ぶろっくです。

 本日イベントで頒布されました「オダイバ後夜祭」ですが、お手に取っていただけましたでしょうか?

 まだ通信販売等でも手に入るはずですので、よろしければご一読ください。

 

 で、私はその中で「近江家(特に母)はどのようにスクールアイドルフェスティバルを過ごしたのか」ということを書きました。

 ただ文字数などのレギュレーションの都合で、書ききれなかったこともあって。

 その中から今回は「夢がここからはじまるよ」の歌詞について、近江家にとってどのようなものであったのかという視点に絞って読んでいこうと思います。

 一応、どちらから読んでいただいても大丈夫です。独立した内容です。

 

前提 

 詳細は「オダイバ後夜祭」にて書いたことなので省略しますが、近江母はスクールアイドルフェスティバルに参加し、ラストステージも会場のどこかで迎えているということを前提に考えています。

 

歩夢「“あなた”が私を支えてくれたように、“あなた”には私がいる。この想いはひとつ。だから、全員で歌います」

9人「あなたのための歌を!」

(中略)

 この「全員」って、もはや9人だけじゃなくて。歌唱しているのは9人だけれど、このステージに参加している全員が「私」であって、そして「“あなた”」なんですよね。

アニガサキ第13話「みんなの夢を叶える場所」のこと。 - 今日も主食はカロリーブロック

 

 侑のための曲でもあるけれど、聴いた人、歌った人、あの場所にいた人それぞれにとって、「夢がここから始まるよ」という曲には意味があるはずで。

 では、娘たちがステージで見せたこの曲を、近江母がどんな風に感じたのか。

 そんなことを考えるのが、今回の流れです。

 

 つまり何かってーと、「歌詞を作った人がどういう意図で作ったかは置いておいて、この曲と歌詞(きみ=母、私=彼方と遥)が近江母の中でどういう思いを呼び起こしたのか」を考えているのがこの記事です。

 

歌詞

La la la...

その手を伸ばして

La la la...

夢を追いかけて

 「~して」というのは、「今までそうしてきた」という意味にも、「あなたにこうしてほしい」という意味にも捉えられますね。

 母にとってみれば、彼方・遥が夢中で追いかけられるものを見つけた結果が、このフェスティバルの開催。

 その集大成となるステージへのワクワクを感じますね。

 

心のアルバムに

溢れてる思い出

こぼれた涙だって

今 輝きだすよ

 今まで積み重ねてきたことについてと、その上で一緒に歩いて行きたいよ、という曲です。

 で、おそらくその積み重ねが最も長く、そして深いのは、作中で描かれている中では、近江親子だと言えるでしょう。なにしろ15年以上ですからね。

 楽しい思い出も沢山あるでしょうし、当然苦しい思い出だって沢山あるはずです。

 例えばそう、母にとってみれば、彼方と遥に不自由な思いをさせているという気持ちは、きっと大きいはずだし。

 でも、だから彼女たちがみな不幸かと言ったら、そうではない。

 彼方が家を助けたいって思う気持ちとか、遥が彼方を想う気持ちとか。そういうものと出会えたときって、きっとどこか嬉しさとか、誇らしさとか、そういうものも少なからず感じるはずなんですよね。

 うちの子たち、なんて素敵なんだろう、って。

 それでも、どこか「二人を縛り付けている」っていう負い目は、あるのかもしれないよね。

*1

 

広げた未来図 一緒にね

自由に描いて いたいけどね

出会えた大好きなら

迷わずに走りだそう

 彼方は虹ヶ咲に。遥は東雲に。

 ちょっとずつお互いの道を進んでいた彼方と遥だけど、今まではお互いにどこか遠慮していました。

 例えば家事や家計の足りないところを、彼方が全て補っていたり。

 でも二人とも少し大人になって、自分の道のために、お互いを支えることができるようになった。

 

 おそらく、母も二人と、もっと家にいたり、一緒にいたいはず。成長していく姿を、間近で見ていたいはず。

 けれどそれを押し殺して仕事に打ち込んでいるのは、二人のことが大好きで、彼女たちのためになることは何かを考えた結果なのだと思う。

 

 結局みんな、大好きなお互いの支えになりたいっていう気持ちは一緒なんだよね。

 お互いのことが大好きだから、好きなことがあるのなら全力で向かってほしいし、いつだってそのための助けになりたい。

 

始まるんだ New Stories

あの日芽生えた勇気

時を超えて今

大きく咲いていくよ

 ここでの「あの日」は三者三様なのですが、母がこの歌詞を聞いて思い浮かべるのは「娘を守ろうと強く思った日」のことだと言えるでしょう。*2

 生まれた日かもしれない。家庭環境に何か厳しいことがあった日かもしれない。

 その日からずっと、夜も働いて家を支えて、そうやって育った二人が、それぞれの仲間達と、笑顔で素敵なステージを作り上げた。それだけでもう、今までやってきたことが報われるような思いなんじゃないかな、と思うのです。

 

 彼方と遥は、本当に小さな勇気が時を超えて、大きく咲いた花なんですよね。母にとって。

 親にとっての子って、多かれ少なかれそういうものなのかな、と思います。

 私は経験がありませんが、母親を見ているとね。何となく、感じたこともありました。

 

遠く響け届け きみの思い

ほら 夢で開く新しいページ

 歌っているのが彼方と遥(と、仲間たち)で、参加しているのが母。

 ということは、母視点では「娘たちが、母の気持ちを大切に思っている」という歌詞になる。

 今までの母の夢っていうのは、おそらくは二人の成長についてのこと。

 遥と彼方が母の夢を叶えるためにも、大好きなスクールアイドルとして、最高のステージを見せたかったと思うんですよね。成長した姿で、夢を追っている姿を見せたかった。それが達成できれば、母の夢がひとつ叶うことになるんじゃないか、って。*3

 

踏み出そうよ New Stage

きっと大丈夫だよ 誰より知ってる

願いは叶うよ!

 彼方と遥の関係性がお互いに助け合うものに変わっていったように、そして夢をそれぞれに追うようになったように、親子の関係性も、少しずつ変わっても良いのかもしれません。

 例えば今まで犠牲にしてきた自分の時間があるのなら、彼方と遥が補っても良いかもしれない。

 一般的な関係なら「子どもにそんなことをさせるべきではない、そんな状況であってはならない」ということになるのかもしれませんが、重要なのは世間一般ではなくて、近江家における関係性とか、役割分担ですからね。*4*5

 そして、実際に夢を叶えつつある娘ふたりに「願いは叶うよ!」と言われる母。

 もうね。「願いは叶うんだ……」っていうのを、これ以上ないっていう形で見せつけられているわけですよね。なんて良い娘たちだ。

 

新しい明日へと

さぁ 夢がここから始まるよ

 子どもたちの成長ってひとつのゴールのようですけど、そんなことはなくて。

 実際には何をするにも先は長いし、家族の助けが必要なこともある。

 それに、母にだってやりたいことが、何かあるのかもしれない。

 どんな夢を見たって、近江家みんなお互いを想いあっていれば。

 

「もしもひとりだったら…」

「キミとじゃなかったら」

みんなとだったから

今日が輝くよ

 近江家の父親というのは作中で描かれていなくて、想像するしかないのですけど。

 登場していないだけで一緒に生活している可能性もありますし、3人で生活している可能性もありますね。*6

 

 彼方を見ていると特に感じるのですが、お互いのことが大切なのって「姉妹だから」「親子だから」だけじゃなくて、「それが彼方だから」「それが遥だから」っていうのも大きいとは思うんですよね。

 それぞれ歌う、聴くみんながそういう相手を持っているとして、母にとっても「私の家族になってくれてありがとう、あなたでよかった」という気持ちにさせてくれるのが彼方と遥なんだろうなあ。

 

それぞれの道へ 走ってく

姿が胸を震わせて

ココロからココロへと

夢が広がってくよ

 これはかじった程度の話なのですが、子どもというのは生まれたとき、親と自分とを同一の存在とみなしているらしいです。だから親から離された子どもは泣くし、一緒にいると泣き止んだりする。

 それが成長するにしたがって、自分と親とを別々の存在と見るようになって、離れていられる時間が長くなっていく。*7

 自分の道を進み始めるというのは、親にとってはいよいよ子が巣立つという実感を得る出来事ですよね。その姿が今までの彼女たちを思い起こさせて、その上であれだけの人たちの輪の中心にいる。

 そりゃあ胸も震えますよね……という感じ。(急に感想が雑。

 

奏でよう New Stories

あの日受け取った勇気

時を超えて今

送りたい 私からも

 ここも母全肯定歌詞(母目線)なんですよね。大好き。

 母が娘たちを育てるのに出していた勇気をしっかり受け取って、それを大人になり始めたふたりが「自分たちもそうなりたい」と歌って発信するの。あんなにみんながキラキラする場所で。

 え、めちゃめちゃ素直な良い子たちに育ってるじゃないですか。

 

もっともっと届け 熱い思い

エール! 夢に向かうその背中へ

 この曲のフル歌詞を読むと、どうしても同じコメントが重なってしまうんですけど。

 繰り返しますが、要約すると「彼方と遥が母が自分の夢のために生きる後押しをする」っていうようなところのアツさがですね、やべえと思うのですよ。

「今までありがとう」と、「私もあなたの支えになりたい」と。これ本当に第7話のストーリーそのもの。

 

踏み出そうよ New Stage

だって大丈夫だよ どんな時だって

諦めないでくれた

 今回フルの歌詞で記事にする理由はたった一つで、「ここの歌詞が好きすぎて」ですね。

 曲のストーリーを加味すれば「あなたは私の夢に関して諦めないでいてくれた。そんなあなただから、自分の夢に向かって行ってもきっと……」ということになりますね。

 これを近江家に当て嵌めれば「母が彼方と遥のことを諦めないでいてくれたから、このステージに立てている。母にも自分の夢を追いかけて欲しいし、助けになりたい」っていうこと。

 

 で、「諦めないでくれてた」っていうのは「諦めそうになった」ということがわかっているから出てくる言葉なんですけど。それって、彼方と遥が母の目線に近づいて初めて分かることなんですよ。

 子どもと大人の会話から、大人同士の親子の会話になったような……そういう感慨を感じさせてくれる歌詞なんです。*8

 

新しい夜明けだね

さぁ 夢をここから繋いでいこう

 夜明けっていう歌詞が、新しい始まりを感じさせてくれますね。

 

「夢を繋いで」というのは、

・誰かの夢を前に進める

・誰かと誰かの夢を繋げる

という二通りの読み方ができます。

 今回に関してはそのどちらもが大切なので、ダブルミーニングの歌詞として素直に読んであげるのが良さそう。

 それぞれの夢を大切にするニジガクらしい歌詞ですね。

 

もう ほどけないように ぎゅっと

胸のリボン結んだら

行こう!

あの 虹の先で 奇跡が待ってる!

「もう」というのが、以前ほどけたことがあるような言い回しですね。 

 彼方も遥もお互いのために、何かを断念しようとしていました。

 そうした背景を母も知っていたかもしれないし*9、逆に彼方と遥も母に対してそういう感情を持っていると思うんですよね。

「虹の先」というのは実際には届かない場所のようなんですけど、「見えなかったものが、雨が止んだことで見えるようになった」という意味ではすごく近江家の立場で見てもふさわしい歌詞だなっていう印象。

 

名前を呼ぶ声

聞こえてくる度に

高鳴ってく鼓動

強くね なれるんだよ

 この歌詞もね、素敵ですね。

 人生で一番長く名前を呼び続けているのが親であり、きょうだいである訳で。

 彼方なんかは実際遥に応援されること(そしていいところを見せること)をモチベーションに頑張ったりもするわけですよね。

 自分(たち)が考えた名前が、彼女たちを奮い立たせる言葉になっているっていうの、親に対するめちゃめちゃ大きな肯定だと思う。人生で一番大きなプレゼントと言ってもいいでしょう、名前。

 

もっともっと届け 熱い思い

ずっと、ずっと、ありがとう

 ずっと言ってるんですけど、私は彼方の何が好き*10って「ありがとう」の言葉なんですよね。

 スクスタのキズナエピソードでは特にたくさん聞けるんですけど、それぞれの「ありがとう」に込められた気持ちがすっごく伝わってきて、ああ、素敵な子だな、って感じるんです。

 だからMärchen Starの「溢れ出すのは『ありがとう』」とかもグッときていたわけで。

 

 で。

「ずっと、ずっと、ありがとう」ですよ。

 彼方*11が関わった「ありがとう」の中で、最大の「ありがとう」なんじゃないかな、と思うんですよ。

 大人になりつつある娘たちから「ずっと、ずっと、ありがとう」ですよ。

 なんかこう……結婚式とかでよく聞くやつですね!(例え方が雑

 

始まるんだ New Stories

あの日芽生えた勇気

時を超えて今

大きく咲いていくよ

遠く響け届け きみの思い

ほら 夢で開く新しいページ

踏み出そうよ New Stage

きっと大丈夫だよ 誰より知ってる

願いは叶うよ!

新しい明日へと

さぁ 夢がここから始まるよ

La la la...

その手を伸ばして

La la la...

夢を追いかけて

 

 この辺りは一番と同じ歌詞ですね。

 なんかこう、同じ話をたくさんしてしまった気がしますが……

 全体として「母は『夢がここからはじまるよ』から、娘たちからの『大好き』や『ありがとう』や『支えたい』の気持ちをたっぷり受け取った」っていうこと。

 近江母、絶対たくさん大変な思いをしていると思うので、こうやって報われていてほしいなあ……という想像をしてしまいます。

 

終わりに

 いかがでしょうか。

 正直、私が言葉を重ねるよりも「こういう視点で歌詞を聞いてみたらどうなるのか」を皆さんに考えてみてほしいな、という気持ちです。

 絶対楽しいですし、「それなら別のこの人はどういうふうに感じたのかな」とかも、考えてみると楽しいと思うんですよ。

 例えば「副会長は『夢がここからはじまるよ』をどんなふうに、誰にどんな思いを馳せながら聴いていたか」とかね。想像し始めると、楽しくなりませんか?

 そういう、大切だけれど物語の中では描かれなかった誰かの物語。

「これは描写してほしかった!」だけでなく、想像することが楽しいというのもあるので。そうやって一緒に楽しめる人がたくさんいたらいいな、と個人的に思っています。

*12

 

ぶろっく

 

*1:f:id:K-block:20210314181526p:plain
スクスタによれば彼方にはアルバムを残す習慣があります。(SRのサイドエピソード「アルバムの意味」より)

 必ずしもアニガサキでもそうだとは限りませんが、むしろ多忙で遥と一緒にいられる時間が少ないぶん、アニガサキの彼方がいっそうこういうことに力を入れそうな印象があります。無論、その辺りは私の想像の中での話ですが、それって元々は母が彼方と遥の写真をアルバムにしていたところから始まっているんじゃないかな……とか、勝手に考えています。

*2:この曲を作った人がどういう意図かではなくて、聴いた母がどう感じたか、ということですね。

*3:ニジガクと東雲のコラボステージは雨で中止になってしまいましたが、こんなに素敵なステージが出来上がったので、結果的には大成功だったのではないでしょうか。

*4:例えば、スクフェス分室では近江家の姉妹関係にしずくが驚くシーンがあります。

lovelive-sif.bushimo.jp

 アニメだともう少し姉妹関係が「かくあるべし」という方向に傾いているようですが、逆に「ハルカカナタ」を通じて「この二人の『らしい』関係」に近づいていった、とも考えられます。

*5:ここで「そもそもそんなに生活が苦しいのに家庭内だけでどうにかしないといけないのが間違っている」みたいな意見はあろうかと思うのですが、問題はそこでは全くなくて、「お互いを支えたいと思っている人同士がどのように伝え、そして行動を起こすのか」が重要なんですよね。……家族が幸せになるために行政課題に挑む近江家、それはそれで面白いかもしれませんが、本当にその先に彼女たちの幸せがあるのかを考えると、ちょっと首を傾げちゃうのは……私が彼女たちを消費コンテンツとして捉えているからというよりは、自分たちでどう乗り越えるのかがリアルに当然の順序だと考えているからだと思います。その辺は諸説あります。

*6:どちらにしても生活が苦しいことはあるし、個人的にはアニメの描写だけで決めてしまいたくはない。私は四人暮らしの幸せな近江家が好きですけどね!!!

*7:親から切り離されるとエネルギーを失っていき、直接的な接触でそのエネルギーを補充する。成長するうち「自分と親とは別の存在である」ということに気づく「心理的出産」を経て、直接的な接触ではなく「一緒にいてくれる」というイメージでも大丈夫になる、みたいな話であったはず。ちょっと厳密な文献を参照してはいないので、正確なところではありません。

*8:歌詞書いた人がそこまで考えてないだろって声はあるかもしれません。とはいえ「彼方たち」が考えた歌詞なので、少なからず彼方の意向が反映されている可能性を考えても良いと思うんですよね。

*9:そもそも彼方も遥も家庭のことに時間を割いているので、何か他にやりたいことがあったかもしれないというのは感じているはず

*10:そもそも私はニジガクで彼方が一番好きなんですけど

*11:厳密には歌っているのは彼方ではないので、「彼方たち」が正しいですね。

*12:例えば別の話をすると、スクスタ第24章のせつ菜と栞子のくだりなんか。描写は全然ありませんけど、栞子がどんな選曲をしたのかとか想像するだけでめちゃくちゃ面白いですよ。本当にミアの曲で挑んだのか、2回戦以降はミアの曲だけどせつ菜との対戦だけは“あなた”とせつ菜がいて出来た初めての曲で挑んだんじゃないか……とかね。