はじめに
こんにちは、ぶろっくです。
字幕「(中国語)」
— ぶろっく (@kitakaze34622) 2021年7月12日
ぶろっく「そこを見せてくれよ」
ラブライブ!の新しいプロジェクト。
これから彼女たちが、どんな出会いをして、どんな道を歩むのか。
まずは彼女たちがどんな道を歩んできたのかを想像するのが楽しい第1話でしたね。
今回は、主に可可とかのんのことを考えていきます。
「諦めないって約束します」
上海から、スクールアイドルをするため日本へやってきた、唐可可。
入学初日、彼女は運命的な「声」と出会います。
「かのんさんの歌は素晴らしいです」
「歌が、お好きなんでしょう?」
「絶対好きです。可可わかります。だからかのんさんと一緒に始めたい」
おそらく、結ヶ丘には歌がうまい生徒は多く在籍しているはずです。
日本語にも堪能な可可であれば入学式の時点で、より音楽的に期待が持てるのは「音楽科」の生徒だ、とすぐにわかるでしょう。
けれど可可が誰よりも最初に、自分から声をかけたのは、かのんでした。
「彼女と一緒に始めたら、きっと楽しい。素敵なスクールアイドル活動になる」
そんな直感が、まずは可可に働いたのでしょう。
希望を持って歩き出そうという自分のために、本気で戦ってくれるかのん。
本当は大好きな歌を、諦めようとするかのん。
少しずつ可可は、その明るさと前向きさ、何より真摯さで、彼女の本当の背景を引き出していきます。
可可のなかで、かのんを誘う動機も変化していったかもしれません。
でも、本質的に「彼女の声に乗る感情に魅せられたから」というのは変わらないと思うんですよね。
歌が好きで、伸びやかに歌う彼女。
歌に対して葛藤を抱えている彼女。
どちらもが感じ取れるその歌声が魅力的で、一緒にいることで、もっとキラキラした何かになれたら……。
かのんを気遣いつつ、彼女のため、そして自分のため、信じることを真っ直ぐ声に出す。
「かのんさんは歌が好きです。歌が好きな人を、心から応援してくれます。可可はそんな人とスクールアイドルをしたい」
そう、可可がかのんと一緒にいたいのは歌が上手いからではないのでした。
そういう人と、一緒に歌いたい。
どれだけ難しいことなのか、可可は知りません。歌えるかのんしか知らない。
それにかのんが歌えないうちは、スクールアイドル活動だってままならないはずです。限られた時間の中の、たくさんの機会を失うことになるかもしれない。
ラブライブ!の大会だって、年に何度もあるわけじゃない。メンバーが増えたら、可可だけの都合でかのんを待っていられないかもしれない。
それでもこう断言する。
「応援します。かのんさんが歌えるようになるまで、諦めないって約束します」
どんな道のりになるとしても、その覚悟を決めるに足るものを、かのんから感じたのでしょう。
その本気の気持ちこそが、かのんの決心を後押ししたのかもしれませんね。
おまけ1
「かのんさん、可愛いです。」
「はぁ!?」
「とっても可愛いです」
「おしまいなんて、あるんですか!」
「え?」
「好きなことを頑張ることに、おしまいなんて、あるんですか!」
大事なことをしっかりと繰り返すの、すごく好感持てますね。
「歌で、みんなを笑顔にすることです!」
澁谷かのん。
「夢は、新設された結ヶ丘女子高等学校の音楽科に進み、歌で、みんなを笑顔にすることです!」
彼女のやりたい(やりたかった)ことは主に人前で歌うことによって達成するものです。*1
本当は歌が大好きで、けれど大事な時に歌えないという彼女。
人前で歌うことそのものは、割と最近でも経験していることなんですよね。
こうした場面では歌えないかのんですが……
実際には多くの人物がかのんの歌について好意的に言及している。
つまり、おそらく歌えない条件は「人前」とかではなくて、「大切な場面」ということですね。過度なプレッシャーのかかるシーン。普通科の受験には普通に通過していることを考えると、プレッシャー全般というよりは、歌に関わるプレッシャーに弱いかもしれません。*2*3
何が言いたいのかというと、第1話のラストで「歌えた!?」と語るかのんは、一体何について前進したと感じているのかな、という疑問のこと。
小学生の頃から、大事な場面で歌うことができない。
中学生の頃には、少なくとも人前で歌は披露している。
高校に上がって、人前での歌唱を避けるような描写がある。
かのんの決意に対して、今の彼女が到達しているのはあくまでも「中学の頃はできていたこと」であって、「小学生の頃からの課題」については、何ひとつ解決できていないのではないか。
それでは、彼女の「歌えた!?」は、一体何がすごかったのかを考えてみます。
「歌えた!」について
少なくとも高校入学式に可可に聞かれるまでは、かのんは普通に(これまでと同じように、普通の場面では)歌うことができていました。だから、歌を歌うこと自体についてのことではない。
とすると、あの場面がかのんにとって、特別なプレッシャーのかかる場面であった、ということになります。
中学の屋上と、今回のストリート。違う点は大きく二つあります。
・スクールアイドルへの決意
可可とスクールアイドルを始める決意を固めたかのん。
それは「大事な場面で歌う機会がある」ということに他なりません。
その上で人前で歌うということは、周囲の状況以上にかのんにとってのプレッシャーになるはずの場面だったのかもしれません。*4
・観客の位置
中学の頃、屋上で歌っていたかのんは屋上から外に向けて歌っています。
つまり、この時点でかのんは「誰かに向けて歌う」ということをしていないんですね。
今回は明確に人の目を集めながら「そこにいる人たちに聞こえるように」歌っています。
そこに、今までかのんが歌えなくなっていた原因のヒントがあるのかもしれません。
プレッシャーの正体
これは完全に妄想なのですが……*5
かのんにとって歌えなかった状況って、作品中で例示されるのは
・小学校の頃の合唱における独唱
・中学校の合唱部での大会
・高校受験の歌唱試験
の三回です。
逆にかのんが歌えているのは
・屋上で一人で弾き語り
・通学中、人のいない路地
・「未来予報ハレルヤ!」のシーン
の三回。
歌えなかった方に共通しているのは、「その歌唱によってかのん(または彼女の所属集団)の評価がされる場面」ということです。
かのんにとって、自分をもっとも表現できる、大切なものは歌だったと想像できます。
そんな歌を聞かれた上で否定されてしまったら、かのんにとって一番大切なもの……というか、かのん自身を否定されてしまうようなもの。
逆に歌うことができなければ、歌っていない以上「かのんの歌が悪い」ということにはならない。それはあくまで「歌えなかった」というだけで、歌の良し悪しを言われることはないわけですね。
だからこそ第三者から否定的な評価をされ得る場面では歌うことができなかったのではないかな、と想像しています。
そして、期待されながらそんな経験を積み重ねて、「そんな自分に(自分もみんなも)がっかりする」ということを繰り返してきたんですね。
思えば高校入試も、みんなが「かのんなら音楽科に進める」と期待していました。
けれど歌った上で合格しなかったら、その期待に答えられる歌を自分は持っていないことになります。
可可からの期待も大きくなるほど、例えばラブライブ!に出場して、いい成績を収められるかもしれないと思うようになる。
けれど実際にはそんな成績を収められなかったら?
よく聞こえたのは偶然で、本当はイマイチだったら?
そんなところから、かのんは声を出せなくなっていったのかなと想像しています。
だから、ファーストライブ……のようなステージなら、案外声は出るのかもしれません。
でも、その真価を問われるような場面や、つまり大会のような場所では、気負えば気負うほど難しい。
って、これは妄想なので実際はどうなるのかわかりませんが。
今後、かのんがどのように自分と、そして仲間と向き合っていくのかが楽しみですね。
おまけ2
私が今回のブログを書くのが遅くなった理由は、基本的に「引っかかったところに引っ掛かりすぎた」ということに尽きます。
よかったところよりも、モヤモヤしたところに頭を使いすぎてしまったんですね。
具体的にはここ。
「この地に根付く音楽の歴史を、特に音楽科の生徒は引き継ぎ」
なんでそこ、「特に」をそんなに強調したんです??
……というのが、単にかのんの聞こえ方の問題かとも思ったのですが、千砂都の表情を鑑みると、シンプルにこういう言い方をしているみたい。
そして、学校サイドが特に音楽科(とその生徒)を重要視していることが想像できるのが、次のシーン。
「とにかく、今日は帰ってください。音楽科の生徒の邪魔にならないよう」
なんでそこ強調したんですか!!!
うん。わかるわかる。恋は親の作ったこの学校を大切に思っているし、そしてこの地の歴史と伝統ある「音楽」という文化を大切に思っている。
その看板を害する可能性のある「スクールアイドル」という遊びを、彼女は認めるわけにはいかない。
でもねえ、それだけ言うなら、かのんの言うように「なぜスクールアイドルはふさわしくないのか」をきちんと言ってあげるべきだと、そう思うんですよね。それしか言わないのでは、ただのわがままじゃないですか。
いや、恋のわがままならいいんですよ。彼女が嫌い、だから認めたくない。それならそれでいいんです。
なお悪いのは、どうやらかのんも「結ヶ丘の『音楽』にスクールアイドルは合わない」ということを、雰囲気で理解しているようなんですよね。
「いきなりそんなこと言ったら、可哀想なんじゃないかな。海外から来たばかりなのに」
「なんでスクールアイドルがダメか、ちゃんと説明してあげなよ。頭ごなしにダメだなんて、可哀想でしょ!」
「少なくとも、この学校にとって良いものとは言えない」
「あなたもやりたいのですか? スクールアイドルを」
このあたりのやりとりが、どうにも二人の間で
・可可がここでの常識を知らない可哀想な子である。
・スクールアイドルは結ヶ丘にふさわしくなく、現にやりたいとは思えないものである。
と前提のもと会話が進んでいるようで、すごく気持ち悪かったんですよね。
一方、そんな暗黙の謎文化よりも自分のやりたいことにまっすぐな可可と
そんな結ヶ丘の空気を客観的に見ることができて、こうやって笑い飛ばせる千砂都には
すごく好感を持ちました。これは個人的な好みの問題としてね。
この話題についてはかのんはともかく*6、恋の背景やこれからの行動には、より注目していたいですね。
あと設立者。*7
おまけ3
ラブライブ! 第2期 第6話(©2013 プロジェクトラブライブ!)より
ラブライブ! サンシャイン!! 第8話(©2016 プロジェクトラブライブ!サンシャイン!!)より
すごいデジャヴ。
そもそもなんですけど、「ラブライブ!」「ラブライブ!サンシャイン!!」に登場していたアキバレポーターには、こんな背景があってですね。
ある日のラブライブ打ち合わせ
— 西田亜沙子(新作準備ちゅう!) (@asakonishida) 2014年6月16日
監督「アキバレポーターの彼女は地方から出てきて、本来は本格的なアナウンサーを目指しているのにこんな仕事ばかりで夜になるとこんなはずじゃなかった、、と一人自分の部屋で泣いていてですね」
全員「知らんがな」
そう考えると、これは……作品としては、狙ってやっているんだろうなあ。
終わりに
気になったことだけ書きました。
作品として「ラブライブ!スーパースター!!」が好きかどうかは、正直まだわかりません。
けれど、「なぜ彼女はああいう言い方をしたんだろう」「どういう経緯で今こういう状況になっているのだろう」をじっくり考えるコンテンツとしては、すでにめちゃめちゃ楽しんでおります。
今晩の第2話、一体どんな彼女たちと会えるでしょうか。楽しみですね!
ぶろっく
アニメ画像の出典:記載の無い場合、すべてラブライブ! スーパースター!! 第1話(©2021 プロジェクトラブライブ!スーパースター!!)より
*1:無論、ネット配信とか考えうる形式は様々でしょうけど。
*2:その辺りも込みで、母に「繊細だから」と言われているのかもしれません。
*3:妹が「ありあ」であることを考えると、彼女の名前が相対的に「複数の声がそれぞれに始まり、同じ音を別々に重ねていく」という意味を持っていることへの面白さを感じますね。本来の彼女がそうした音楽を得意とするのであれば、失敗を繰り返してきたのが常にソロで歌うパートだったことも無関係ではないのかもしれません。とはいえ、自然体のソロで少なからずファンを獲得しているのも事実なのですが。
*4:これは後で触れますが、可可がかのんの評価を高めれば高めるほど、かのんにとってはプレッシャーを増すことになります。
*5:まあ、妄想を言葉にするのがこういう記事の醍醐味なのでね?
*6:というのは、彼女は既に可可を「可哀想」ではなく本気同士の仲間としてみているので。彼女はなんというか、そのあたり柔軟というか、いい子なんだなあっていうのはすごく感じますね。
*7:私はスクスタのメインストーリーは理事会さえマシにすれば生徒側はいい子達ばかりという認識なのであまり苦手意識がないのですが、スーパースター!!は果たして……。