「My Own Fairy-Tale」をきちんと読む。
こんにちは、ぶろっくです。
1stライブが、12/14(土)、15(日)の2daysで開催されます。
ニジガクでは近江彼方ちゃん推しの私が、今回は「My Own Fairy-Tale」の歌詞を読んでいきます。
【試聴動画】Love U my friends / 虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会
どの曲もステキですが、件の曲は9分23秒頃からです。
彼方ちゃんは公式の人物紹介からも分かるように、普段はほとんど常に眠そうにしている女の子です。*1
そうした印象も手伝って「おねんねソング」と思われがちなこの曲。
恥ずかしながら、私は数日前までそういう印象で聴いていました。
ですが歌詞を正確に読んでいくと、他人思いな一面のある彼方ちゃんの願い、楽しさ、そういったキラキラした感情に出会うことができます。
1stライブでも披露されるであろうこの曲を通して、彼方ちゃんの魅力を感じていただけたなら嬉しいです。
歌詞を読む
※例によって脚注が多めですが、本筋には影響しない程度の余談です。
お手空きの際にでも見ていただければ。
初めてお越しでしょうか? 簡単にご説明します
その前にお名前 お伺いします!
後ほど歌詞に出てきますが、この曲・披露されるライブ・会場は“夢の国 ”と表現されます。
ニジガクの“夢”は1人1人違って*2、それについては後ほど別の歌詞から考えるとして。
夢の国という単語から連想されるのは、私にとっては某ネズミのテーマパークですが。
この曲の歌詞は数カ所の「彼方ちゃんの心情」を除くと、全てが入園(入国?)案内のようです。
ちなみに「彼方ちゃんの心情」パートには、必ず単数の「私」という単語が出てきます。
あえてここで名前を聞くというのは、「ここでは、あなたという存在が大切なのです」という、第一の注意事項なのだと考えられます。
この感覚を忘れずに、以降の歌詞を読んでいきましょう。
眠ってばかりのストーリー
夢を夢のままにしないように
つくってきた国が この国なのです
ここで「この国がどういう性質を持っているのか」がわかります。
この歌詞は「眠るというストーリー」というように読みがちです。
つまり、「いつも眠っていて、そこで見た幸せな夢を呼び起こせるのがこの国です」ということですね。ここは眠って見る夢の中と同じですよ、という。
ただ、ここを夢そのものとすると、次のブロックや終盤の歌詞に問題が生じてきます。
詳細は次の段に譲るとして、ここでは読み方を少し変えていただけるよう、歌詞に色をつけてみました。
ストーリー・夢:叶えたいこと、願いごと
眠ってばかり・夢:叶っていない、実現しないと思っていること
こんな風に読むと、
いつも叶っていない願いごと
願いを叶わないままにしないように
と読み換えることができます。
赤い方が「願い」の夢、青い方が「眠って見る」ほうの夢と考えてもいいです。
これ、最初の歌詞が夢の国の案内であったことから察するに、訪問者である“あなた”の夢についてのことです。
ここの歌詞を読む限り彼方ちゃんは、“あなた”の夢のためにこの国を作ったといえます。*3
(青字的な)夢を忘れ、(赤字的な)夢に向かうことができるのが、この国なのです。
ずっと言えなかったこと
しょうがないと思ったこと
全部忘れて もう迷わない!
「この国にいると、どういうことが起こるのか」という内容で、先ほどのパートを説明する部分です。先ほどの読み方で、このパートも考えていきましょう。
この国では、願っていることが実現の方向に向かうのでしたね。
まず、「言えない」「しょうがない」が、夢として全部忘れられます。
そして迷いがなくなると、「言える」「やりようがある」という方向へ向かえるようになる。
この国にいる人がそうなれるよう、彼方ちゃんは望んでいるわけです。
では、先ほどの読みがちな解釈(≒「ここは夢そのものと同義」という読み方)の何が問題かという話を。
その解釈の中では、このパートは「夢の中では嫌なことを忘れられるよ」というだけのことを言う箇所。
しかし夢は覚めるものなので、覚めた先には「嫌なこと」が残っています。
眠ってばかりでいる人が「夢の中では全部忘れられる、もう迷わない!」と言うの、冷静に考えるとちょっとネガティブで、開き直りが過ぎますね。*4
それに「眠ってばかりの彼方ちゃんが、頑張って誰かの夢の国を作る」というの、歌詞のストーリーを考えると、イマイチ意味が分かりません。
そんなわけで、先ほどの歌詞で別の読み方を提示したのでした。
ようこそ夢の国へ!
ルールはたった一つのフェアリーテイル
お姫様のワガママ 今だけ許してね?
ここの正しい読み方は、文法的には二通り考えられます。
どちらも意味合いとしては変わらないので、ご紹介だけ。
1. このフェアリーテイルに於いて、「ルールはたった一つ」である
2. 「たった一つのフェアリーテイル(であること)」がルール
1.のほうが意味を理解しやすいはずなので、この記事ではそちらの方向をとります。
2.でも、「そのフェアリーテイルとはどのようなものか」を説明すると本質的には一つの答えにたどり着くので、最終的な解釈に問題は生じません。*5
では、勘違いしやすいポイント「たった一つのルールとは何なのか」です。
ちなみに、お姫様のワガママは、ルールを守るための手段にすぎません。ワガママ言いたいから聞きなさいよ、という歌詞ではない。
勘のいい方の中にはお分かりの方もいるかもしれません(いてほしい)。
たった一つのルールとは、「夢を夢のままにしない」ことです。
だって、そういう風にこの国は作られているんですから。
なんだか、いよいよ国語の読解問題みたいですね。
フェアリーテイル(Fairy-Tale)は直訳すると妖精の物語、「架空の話」です。が、これを夢で終わらせないのが、この国の在り方です。
Fairyは、夢を実在しないもので例えたもの。でも(これは想像ですが)、スクールアイドルの彼方ちゃんのことも指しているとするなら、彼方ちゃんは実在しているので、「この妖精物語も実現するのだ」と暗示させる単語でもあるわけですね。実在しないだろ、とか言ってはいけない
また、意訳すると「おとぎ話」となります。
これは子どもに読み聞かせる童話のような意味を持ちますが、「御伽(おとぎ)」の本来の意味合いは「大人の話し相手になる」ことです。*6
ここでも「あなたと私」という、訪問者の存在を意識した内容になっているわけですね。
このメロディーにのせて
みんな笑顔にさせてあげるの
ありったけの気持ちで
私はここにいるよ
ここがお姫様のワガママの内容です。
たった一つのルールのためには、みんなが笑顔でいてほしい。
彼方ちゃんはどうやらそう思っているようです。*7
だからこそ、そのために彼方ちゃんは歌います。
スクールアイドルとして活動することも実は彼女にとってはわがままで(スクスタ内で語られることですが)、それでもやめたくないんですよね。
ほとんどが“この国”の説明である曲の中で、数少ない「彼方ちゃんの心情」を直接表現した歌詞でもあります。
「私」と単数で表現される部分では、どんな気持ちでパフォーマンスをしているのかをしているのかを知ることができます。もう一箇所ありますので、探してみてくださいね。
ご覧いただけますでしょうか?
前方に見えますステージには
私たちの願いが 込められています!
ステージという単語がこっそりと現実を感じさせてくれる気がします。
これが「お城」とか、そういう単語ならまさに夢の中なのですが、その辺りは彼方ちゃんのこだわりなのでしょうか。
で、私たちの願いはここまでの文脈で
・“あなた”の願い(夢)
・彼方ちゃんの願い(みんな笑顔に)
であると想像できます。
彼方ちゃんもこの世界の住人の一人として、自分の夢も夢のままにしたくないと思っていることでしょう。
みんなが嬉しい。彼方ちゃんも嬉しい。そんな関係を「素敵」と言えるのが彼方ちゃんです。
また、もう少し視野を広げると、同じステージでパフォーマンスをする虹ヶ咲のメンバーも、この歌詞では指していそうです。
ソロだけどひとりじゃない。そんな虹ヶ咲の在り方を、彼方ちゃんも好ましく思っているのでしょう。
流れる星に願いを 祈るだけじゃなく
もっと みんな巻き込んで
叶えたい
彼方だけにカナえたい……?
ここまで読んできたなら、もはや説明不要かもしれませんが。
この曲がどういうものかは散々語られてきたことですが、それを彼方ちゃんはみんな巻き込んで叶えたいのだそうです。
考えてみたら、妹や両親に関して彼方ちゃんは、本人たちにとってかなり理想的な状態を築いていると思われます。
でも、もっとみんなを笑顔にしたい。確かにわがままかもしれませんが、眠そうな外見に反して真剣なのです。
広がるこの世界で
誰もまだ聞いた事ないフェアリーテイル
お姫様のワガママ 一緒に紡いでね?
彼方ちゃんの野望(野望?)は、スクールアイドル活動が続くにつれて、どんどん広がっていく事でしょう。
けれどまだ誰も聞いた事ないのは、“あなた”とだけの物語であるから。
彼方ちゃん、応援してくれる一人一人のこと、ちゃんと大切に思っているのです。
一人一人が彼方ちゃんのステージを許し、認めてくれる事で、彼方ちゃんがパフォーマンスをできる。その結果として、みんなが笑顔になれるかもしれない。
彼方ちゃん自身の夢を叶えるためには、一緒にいてFairy-Tale(おとぎ話)を紡いでくれる人が必要なのです。
弾むリズムにのせて
どこまでも続くパレードみたいに
キラキラな幸せが
私を包んでゆくよ
歌詞がいよいよ夢の国。これは確信犯では……と、勝手に思っています。
彼方ちゃんの国で笑顔になった人たちはきっと、それぞれの夢を叶える活力を得ていくわけで。
そんなキラキラに包まれることこそ、彼方ちゃんにとっての夢なのでしょうね。
今日という日が終わっても
消えないおとぎ話
ぎゅっと 守りたいの
この歌と 煌めく景色
この歌詞が大切なのは、ここが現実であるということがはっきり示された箇所だからです。
夢は覚めたらいつか忘れられてしまうけれど、ここで見た景色はずっと大切に残る。それはやはり、「叶わないこと」としての夢とは反対の夢を見るのがこの国だから、なのでしょうね。
そして、この歌 は彼方ちゃんのワガママの象徴でした。
でも、それも大切にしたい。彼方ちゃんにとってはワガママを言えるということも、大切なのだと思います。自分が夢を追えるからこそ、歌える歌でもあるのでしょう。
それをさせてくれる人たちのいる景色が、大好きなんだと改めて感じますね。
ようこそ夢の国へ!
ルールはたった一つのフェアリーテイル
お姫様のワガママ 今だけ許してね?
このメロディーにのせて
みんな笑顔にさせてあげるの
ありったけの気持ちで
私はここにいるよ
ここは一番と同じ歌詞。
二番ではこの国の向かう先が示されていたので、ありったけの気持ちがより鮮明な感情として伝わるようになったのではないでしょうか。
また、このパートが繰り返されることで「一回だけの物語ではなく、広がっていくのだ」というふうに読むこともできます。
見方によってはただ繰り返すだけですが、繰り返しに意味を見出すのもいいかもしれませんね。
終わりに
如何でしょうか。
こんな考え方でこの曲を聴いたら、彼方ちゃんの見方が変わるかも……?
とっても素敵な子なので、ぜひ皆さん応援しましょう!
また、スクスタ等で見ることができるストーリーもお気に入りなので、興味がおありの方には見て欲しいですね。
それでは。
ぶろっく
*1:その事情はスクスタ内、近江彼方の絆エピソード第2話で語られる。
*2:1人1人が自分の夢を追いかけながらNo.1スクールアイドルを目指し、時にライバルとして、時に仲間として日々活動している。──ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会ホームページ内「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会とは」より。2019年12月13日最終閲覧。
*3:なお夢の国の“夢”は、願い事を追い求めるほうの夢です。この辺りは、「WATER BLUE NEW WORLD(Aqours / 作詞:畑亜貴)」の「夢は夢のように過ごすだけじゃなく」にも通じる考え方である。
*4:だいいち、彼方ちゃんは意外と眠ってばかりではない。
*5:「たった一つ=あなただけの」と読むことによって、最初の歌詞とも意味が繋がる。
*6:こちら、参考までに。
*7:その辺りはスクスタ内、近江彼方の絆エピソード第7話の内容に通じるものがある。