ニジガクMW・7「アナログハート」のこと
はじめに
こんにちは、ぶろっくです。
ランダムと呼ぶには法則性がありそうで、規則的というには変化球の多い、そんな順番です。
ラッキーセブン、「ニジガクみゅ〜じっくウィーク!」七週目はこのひと。
【🌈ニジガクみゅ〜じっくウィーク!🌈】
— ラブライブ!シリーズ公式 (@LoveLive_staff) 2020年7月9日
本日は「ニジガクみゅ〜じっくウィーク!」7週目!🎆
2020.9.2発売 3rdアルバムに収録する楽曲を、毎週木曜日に1曲ずつランダムで公開していきます🎶
7週目の担当メンバーは天王寺璃奈📶✨https://t.co/TUyx6yiTxF#lovelive #虹ヶ咲 pic.twitter.com/NplWGp1X8V
【ニジガクみゅ〜じっくウィーク!〜7週目〜】アナログハート / 天王寺璃奈(CV.田中ちえ美)
アナログハート*1です。
璃奈の心のかたちが、ぐっと解像度を増していくような曲ですね。
歌詞
いつの間にか 遠いところまで歩いていた
予測不可能 大・大・大ジャンプ
夢見てるみたい
「いつの間にか」「遠いところまで」「予測不可能」「ジャンプ」
この並びを見て「ん……?」となったのは、私だけじゃないでしょう。*2
さておき。
スクールアイドルとしての今の状況は、かつての璃奈では予測できなかったことでしょう。
ストーリー開始時点では「オートエモーションコンバート璃奈ちゃんボード」自体が存在していないわけで。
こんな風に「大勢の人たちと」「表情を使って」コミュニケーションをとるなんていうことは、璃奈は夢にも思わなかったはず。
この歌詞を少し具体的にしたのが、次の歌詞です。
アップデートされる毎日は 刺激的
スマイルはもう隠さない
この目で見たい
ここの歌詞は、前の部分とリンクしているところが非常に多いですね。*3
遠いところまで来ているけれど、それは毎日の新しい(刺激的な)積み重ねがあってこそ。
最初と今とを比べれば大きな違いですが、コツコツとアップデートを重ねてきたおかげです。
また、璃奈にとっての「予測不可能な大ジャンプ」は「スマイルはもう隠さない」なのかな、というのも想像できますね。
この歌詞は今まで璃奈がスマイルを隠してきた、という風に歌っています。
これは「ドキピポ☆エモーション」*4で「そのときは(素顔を見せる自分が)笑顔で居たい」と歌っていたことから、璃奈自身の表情の話と考えられます。
ただ一方で、そのままでは続く「この目で見たい」が何を指しているのかが分からない。
自分の笑顔を隠さない。
あなたの笑顔も隠さずしっかり見たい。
みんなのスマイルを共有して交流していく、そんなスクールアイドル像を感じる歌詞です。
いや、これは璃奈ちゃんボード否定説とかではないんですよ。
璃奈ちゃんボードを介して、笑顔をクリアに伝える璃奈。
璃奈ちゃんボードを外して、そのままの表情をやり取りする璃奈。
どちらも根っこにあるのは「ありのままの感情」です。
もはや、色々な人に怒られそうな言い方をすると「彼女の場合は人より手段が多いだけ」と言ってもいいでしょう。それだけの成長をしてきている、という意味で。
どこでも 誰にでも 手を差し伸べたいよ
雨にも風にも強いんだ アナログハート
この部分はスクールアイドル像であると同時に、彼女がなりたい人間像なのかな、と思います。
璃奈が表情を隠していることに負い目を感じていた、周囲の目を気にしていたストーリーもありましたよね。
そんなところも込みで、宮澤賢治の「雨ニモマケズ」を連想します。気になった方はググってください。
「ニジガクみゅ〜じっくウィーク!」で公開された試聴曲の多くは、これまでの曲から視点や考え方の発展、成長が見られるような歌詞でした。
この曲も例外ではなく……
ドキピポ☆エモーション:あのステージで待ってる
テレテレパシー*5:送るよメッセージ
アナログハート:手を差し伸べたいよ
能動的に、そして距離感が(物理的にというより、精神的に)近くになってきているのを感じます。
「強いんだ」という言葉がありますが、これは「パワフルな」というよりは「しなやかな」という印象です。
つながるよ未来へと アクセス
飛び出した勇気は サクセス
心と心はオンライン
これは倒置というべきか、循環しているというべきか。英文法的というべきか。
ちょっと英語的な読み方(関係代名詞っていうと、伝わる人には伝わる)なんですが
未来へとつながる(アクセス、接近する)よ。
どんな未来かっていうと、飛び出した勇気でサクセス(成功)した未来だよ。
みたいな。
つまり、勇気を持って飛び出すことは成功につながる。
成功は未来へとつながる。
未来に近づくには、飛び出そう。
そういうこと。日本語にするとややこしいね。
「オンライン」は、「線がつながっている」という意味でとるのもいいですね。
あるいはその繋がりが「世界に向かって解放されている」というのも、ニュアンスとしては感じられます。
テレテレパシーでは心のやりとりを「点を繋いで 線になって そして円になった」と歌っていますが、そこからさらに繋がりを広げていった格好です。
りな子、どこまでいっちゃうの……! 頑張ってほしい。応援したいですね。
ちなみに、どんなふうに璃奈がサクセスしていったかはキズナエピソード第9話「アクセス・サクセス」でその一端を垣間見ることができます。
間違ったっていいの? いいよ!
クリアまであと一歩? もうちょっと!
心 パスワードを解除して
ここは、一度「どんな顔をしたらいいかわかんなく」なったことを指しているのかな。
または、今後のキズナエピソードのタイトルは「あの人がいない」「温度差」です。
ここで語られるのかな。
まさかドリンクの件ではあるまいな?
そんな実例がここに、みんなの前にいる。
それが、彼女が示す最大のパスワードだと思うんですね。
そうそう。
「いいの?」「いいよ!」は、テンポや音も、表記上の見た目も、綺麗ですね。
「一歩」と「ちょっと」はどうかな?というところですが、「一寸」の読みが「ちょっと」なので、一応こちらも綺麗なかたちです。
実際の表記がどうなるかは分かりませんが。
つながるアナログハート
大切なアナログハート
ここでタイトルについても、少し考えてみましょうか。
心がアナログであることは「ドキピポ☆エモーション」でも触れられていました。
今回はそんな自分をより表現する、というような曲です。
「デジタルとは」で検索をかけると、こんなサイトが出てきました。
アナログとは、ということを理解するのに役立つと思いますので、貼らせていただきます。
(最終閲覧 2020/7/9)
手段はハイテクな璃奈ですが、彼女自身は至ってアナログなんです。
1と0ではかるものではない、もっと複雑で繊細なもの。
それを表現するために用いたのがデジタル的なツール。
ここで歌詞に示されていることでもありますが。
璃奈がずっと大切にしていることは、いかにしてコミュニケーションをとるか。
そしてそれ以前、彼女が周囲とうまくコミュニケーションを取れなくなっていった背景には「自分の心を守る」という要素があったと思うんです。*6
けれど、そんな璃奈が大切な心を、ずっと「繋がりたい」という気持ちでい続けたこと。
それって、本当に大切なことだと思うし……ありのまま、情報量の多いアナログな気持ちを、彼女の全てを使って表現していることこそ、「アナログハート」の持つ意味なんじゃないかな、と。漠然と。
ところで、「文字」っていうツールは非常にデジタルな傾向の強いツールなんですよね。
「嬉しい」って書いたら「うれしい(ureshi)」と読みます。
これがどんな「嬉しい」なのか、言葉を尽くしても、そこにあるのは記号です。
誰が見ても同じ意味です。そもそも言葉ってそういうものだからね。
でも、誰かの嬉しい顔を、声を思い浮かべてください。
あるいは、あなた自身の嬉しかった時の気持ちでもいいです。
今、思い浮かべたものは……記号ではないはずです。筆舌に尽くしがたい「きもち」です。
それが「アナログ」ってこと。
なんとなく、この曲で璃奈が何を伝えたいのか、想像できましたか?
私のしているその想像も、多分アナログな感情です。うーん、語彙力が足りない。
(これも誤解のないように言っておくと、私は同じ記号から読み手によって異なる無限のアナログ感情を生み出す「言葉」っていうものはすごいと思うし、解像度が極めて高い「言葉」も存在します。)
終わりに
これ、書き始めた時点で「アナログとデジタルの話は触れないとなあ」と思っていました。
けど言葉っていう概念の話は、その場で思いついたやつです。思い出した、が正しいか。
言葉に何を乗せるか、それって本当にさまざまな可能性がある。璃奈ちゃんボード、あるいはスクールアイドル天王寺璃奈は、その新しい可能性の一つに挑戦している……のかもしれない。*7
ではまた。
ぶろっく